【ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス ネタバレ】ワンダは死んだのか?イルミナティ全滅の理由・第三の目の意味を結末まで解説

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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスのネタバレ解説記事のアイキャッチ画像。深紅の霧に包まれて崩れ落ちる山頂の神殿と、嵐の空に開く金色の星形の裂け目に「ワンダは死んだのか?」のコピー

この記事は、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の結末・キャラクターの生死・ミッドクレジットまで含む核心のネタバレを扱います。
まだ観ていない方は、先に本編をご覧になることをおすすめします。

ワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチ(エリザベス・オルセン)は、自らワンダゴア山を崩して全宇宙のダークホールドを破壊し、崩れ落ちる神殿の中に消えますが、生死は劇中で明示されません。ドクター・スティーヴン・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)はアメリカ・チャベスを守り抜く一方、ダークホールドを使った代償のように額に第三の目が開いて物語は幕を閉じます。

「ストレンジが何人も出てきて、誰が生きていて誰が死んだのか分からないまま終わった」——2022年5月4日の公開日に劇場で観た私も、エンドロールの間ずっと頭の中が渋滞していました。イルミナティは一瞬で全滅し、ワンダは怪物のように追ってくる。それなのに、最後に残るのはワンダへの割り切れない気持ちなんですよね。

この記事では、3つの宇宙をまたぐあらすじを整理したうえで、ワンダが暴走した理由、イルミナティ全滅の狙い、ワンダの生死、第三の目の意味を、監督・脚本家・キャストの発言から読み解きます。

💡この記事でわかること
  • 3つの宇宙をまたぐ、結末までのネタバレあらすじ
  • ワンダがスカーレット・ウィッチとして暴走した理由と、最後に死んだのかどうか
  • イルミナティがあっけなく全滅した理由と、脚本家が明かした狙い
  • ストレンジの第三の目と、ミッドクレジット・ポストクレジットの意味
  • 登場した4人のストレンジの違いと、X・知恵袋・5chの反応
  • 観る前に押さえたい関連作品と、見返せる配信サービス

この記事を書いた人
藤沢あかり——MCUを1作目から公開順に追いかけているエンタメライター。本作は劇場で2回観て、ディズニープラスでドラマ『ワンダヴィジョン』の最終話と続けて見返しました。本記事は日本語版・英語版Wikipedia、映画ナタリー、シネマトゥデイ、脚本家マイケル・ウォルドロンのインタビューを突き合わせ、確かめられた事実だけで書いています。

ドクターストレンジ マルチバースオブマッドネス ネタバレの3つの宇宙をめぐるストーリーの流れ
目次

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスはどんな結末?ネタバレあらすじを3つの宇宙で整理

物語はアース616・アース838・インカージョン(侵食)で滅びた宇宙の3つを移動しながら進み、アメリカを狙うワンダとの戦いは、ワンダ自身が過ちに気づくことで決着します。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021年)の後を描く、上映時間126分の物語です。

アース616——ガルガントスの襲撃とワンダの正体

冒頭、宇宙と宇宙のすき間で、別の宇宙のストレンジ(通称ディフェンダー・ストレンジ)とアメリカ・チャベス(ソーチー・ゴメス)が怪物に追われています。ストレンジはアメリカの力を奪おうとした末に致命傷を負い、アメリカは無意識に開いた星形のポータルで、彼の遺体とともに別の宇宙へ逃れました。

アース616のストレンジは、この出来事を夢として見ていました。元恋人クリスティーン・パーマー(レイチェル・マクアダムス)の結婚式の最中、街に一つ目の怪物ガルガントスが現れ、夢で見た少女が襲われます。ストレンジは現在のソーサラー・スプリーム(至高の魔術師)であるウォン(ベネディクト・ウォン)と怪物を倒し、もう一人の自分の遺体を埋葬しました。

怪物に刻まれた魔術のルーン文字を手がかりに、ストレンジはワンダに助言を求めます。ところが、ワンダこそが黒幕でした。ドラマ『ワンダヴィジョン』で魔女アガサ・ハークネスから奪った闇の魔術書ダークホールドに取り憑かれ、別の宇宙で息子ビリーとトミーと暮らすために、アメリカの能力を奪おうとしていたのです。

ストレンジがアメリカを渡すことを拒むと、ワンダは魔術師の拠点カマー・タージを襲い、多くの魔術師を殺してウォンを捕らえます。追い詰められたアメリカは再びポータルを暴発させ、ストレンジと一緒に別の宇宙へ飛ばされました。

アース838——イルミナティとの対面とワンダの襲撃

二人がたどり着いたアース838では、ストレンジはサノスを倒した英雄として像になっていました。この世界のソーサラー・スプリーム、カール・モルド(キウェテル・イジョフォー)に捕らえられた二人は、ヒーロー組織イルミナティの前に連れ出されます。

そこで明かされたのが、838のストレンジの最期です。彼はサノスに勝つためにダークホールドに頼り、宇宙同士が衝突して滅びるインカージョンを起こして、一つの宇宙を消滅させていました。そのためサノスを倒した後、イルミナティの決定でブラックボルト(アンソン・マウント)に処刑されたのです。

一方のワンダは、ダークホールドの呪文ドリームウォークで、838で息子たちと暮らす自分の体を乗っ取ります。カマー・タージの魔術師サラが、命と引き換えにダークホールドを破壊して一度は断ち切りました。それでもワンダは、ウォンに案内させてダークホールドの力の源であるワンダゴア山へ向かい、ドリームウォークを再開します。

838のワンダの体で現れたスカーレット・ウィッチは、イルミナティを次々に殺害しました。生き残ったのは、ストレンジに倒されたモルドだけ。ストレンジとアメリカは、イルミナティのもとで研究者として働く838のクリスティーンの助けで逃げ出します。

滅びた宇宙から最終決戦へ——ヴィシャンティの書と遺体へのドリームウォーク

3人は宇宙と宇宙のすき間で、ダークホールドの対極にあるヴィシャンティの書を見つけます。しかし手にした直後にワンダが現れて書を焼き払いました。さらにアメリカの体を支配してその能力を使い、ストレンジと838のクリスティーンを、インカージョンで滅びた宇宙へ飛ばします。

その宇宙で待っていたのは、ダークホールドに堕ちた第三の目を持つストレンジ(通称シニスター・ストレンジ)です。対決に勝ったストレンジは、彼のダークホールドを使い、アース616に埋葬したディフェンダー・ストレンジの遺体にドリームウォークしました。遺体に群がる亡者の魂に飲まれかけながらも、クリスティーンの言葉に支えられて魂を従えます。

ウォンの助けでアメリカを救ったストレンジは、アメリカに自分の力を信じるよう促しました。アメリカはワンダをアース838へ送り、ワンダは838のビリーとトミーに怯えられて、ようやく自分の過ちに気づきます。ワンダはワンダゴア山を崩して全宇宙のダークホールドを破壊し、自らも崩落の中に消えました。

アメリカはストレンジと838のクリスティーンを、それぞれの宇宙へ戻します。後日、アメリカはカマー・タージで魔術の修行を始めました。街を歩いていたストレンジは突然苦しみだし、その額には第三の目が開きます。

おたくライター

冒頭で死ぬディフェンダー・ストレンジの遺体を、616のストレンジが埋葬する場面は覚えておいてください。初見の私はあの冒頭をただの悪夢の演出だと受け流していて、終盤に墓から遺体が起き上がったとき、誰の体なのか一瞬つながりませんでした。2回目は冒頭から伏線として見えて、最終決戦の印象がまるで変わりました。

ワンダはなぜスカーレット・ウィッチとして暴走したのか?『ワンダヴィジョン』から続く母の喪失

別の宇宙で息子ビリーとトミーと暮らしたいという願いを、ダークホールドに取り憑かれて、手段を選ばず叶えようとしたからです。本作のワンダは、ドラマ『ワンダヴィジョン』(2021年)の結末から一直線につながっています。

『ワンダヴィジョン』でワンダは、町ウエストビューを魔法の空間ヘックスで包み、ヴィジョンと双子の息子ビリー、トミーと暮らす日々を作り出しました。最後は町の人々を解放するためにヘックスを解き、魔法で生まれた家族も消えていきます。ところがポストクレジットでは、ダークホールドを読むワンダが、子どもたちの声を聞く姿が映し出されました。

ダークホールドを読み進めたワンダは、その双子が別の宇宙には実在すると知ってしまいます。脚本のマイケル・ウォルドロンは米Varietyのインタビューで、『ワンダヴィジョン』で悲しみが消えたわけでも、怒りがなくなったわけでもないと説明しました。ダークホールドが子どもを求める願いに取り憑き、今度は本当に手に入れようとする——それが本作のワンダだというのです(VG+による翻訳紹介)。

彼女の人生すべてが悲劇の積み重ねだと思うし、彼女は悲劇的なヒーローです。

出典: 『ドクター・ストレンジMoM』ワンダの人生は悲劇の積み重ね エリザベス・オルセン「彼女はそれでも生き続ける」 – シネマトゥデイ, 2022年5月13日(エリザベス・オルセン、合同インタビューでの発言)

オルセンの言う「悲劇の積み重ね」は、作品をまたいで見るとよく分かります。ワンダは幼いころに両親を亡くし、愛するヴィジョンも失いました。『ワンダヴィジョン』では、自分で作り出した家族とも別れています。本作の暴走は、その喪失の延長線上にあるわけです。

だからこそ、ワンダは最初から怪物として登場しません。ストレンジが訪ねた時点では、ウエストビューの一件を反省している落ち着いた女性として現れ、言葉の端から本心がにじみ出る。この順番が、観客の感情を揺さぶる仕掛けになっています。

賛否の火種もここにあります。『ワンダヴィジョン』で区切りをつけたように見えたワンダが、本作ではいきなりヴィランになっている。ドラマを観ていない人には動機が見えにくく、観た人には「せっかくの区切りが台無し」と映る。どちらの不満も、ワンダの物語が映画1本の外側から始まっていることに根があると私は考えています。

ちなみに『ワンダヴィジョン』はディズニープラスで配信されているドラマなので、本作と同じサービスで続けて観られます。

おたくライター

『ワンダヴィジョン』を観ていないなら、せめて最終話のポストクレジットだけでも先に観てから、本作を見返してほしいと思います。劇場で観たとき、私はカマー・タージ襲撃の前にワンダがストレンジと交わす会話を、ただの探り合いだと思っていました。ダークホールドを読みながら子どもの声を聞くワンダを観た後では、あの会話が「母親に戻りたい人」の言葉に聞こえて、まるで別の場面でした。

イルミナティはなぜあれほどあっけなく全滅したのか?脚本家が明かした狙い

ワンダを本作で最も恐ろしい存在として立てるため、期待のヒーロー集団を一気に倒す構成が、意図的に選ばれていました。劇場がざわついたあの場面は、作り手が狙ったものだったのです。

イルミナティのメンバーと最期

アース838のイルミナティは、この世界のストレンジが創設に関わったヒーロー組織です。ドリームウォークで838のワンダの体に入ったスカーレット・ウィッチは、モルド以外の5人を殺害しました。

メンバー演じた俳優結末
ブラックボルト(ブラッカガー・ボルタゴン)アンソン・マウント口を消され、自分の声の衝撃で死亡(最初の犠牲者)
リード・リチャーズジョン・クラシンスキー体をバラバラにされて死亡
ペギー・カーター/キャプテン・カーターヘイリー・アトウェル(吹替 園崎未恵)投げ返された自分の盾で胴を両断されて死亡
マリア・ランボー/キャプテン・マーベルラシャーナ・リンチ倒れたところに像を落とされて死亡
チャールズ・エグゼビアパトリック・スチュワートワンダの精神に入って説得を試みた後、首をひねられて死亡
カール・モルドキウェテル・イジョフォー(吹替 小野大輔)ワンダには殺されず、616のストレンジとの戦いで倒される

チャールズ・エグゼビアを演じるのは、『X-MEN』シリーズで同じ役を演じてきたパトリック・スチュワート。リード・リチャーズ役は、ファンの間で以前から待望されていたジョン・クラシンスキーです。期待が最高潮に達したところで、その全員が倒されていきます。

『エイリアン2』の海兵隊と同じ構造——脚本家ウォルドロンの説明

脚本のウォルドロンは、米Rolling Stoneのインタビュー(2022年5月9日)で、執筆中に映画『エイリアン2』(1986年)をよく観ていたと明かしています。強いと紹介された宇宙海兵隊があっけなく殺されるからこそ、その後のエイリアンが本当に怖くなる。それをワンダでやりたかった、という説明です。

彼は、イルミナティの場面が終わるころには観客にスカーレット・ウィッチを心底怖がってほしかったとも語っています。劇場で歓声の後に息をのむ声やうめき声が上がったことにも触れており、あの落差そのものが狙いでした。

舞台はロンドンの大英博物館を再現したものです。視覚効果を担当したILMのスーパーバイザーによると、当初は館内でのロケを予定していたものの、特殊効果やスタントの機材が収まらず断念しました。休館中の館内をスキャン・撮影したデータをもとにスタジオのグリーンバックで撮影し、マリア・ランボーを押しつぶす像などはCGで加えたそうです(Art of VFX)。重厚な空間でヒーローたちが次々に倒される画は、ホラー映画の惨劇の舞台そのものです。

演じた側の受け止め——キャプテン・カーター役ヘイリー・アトウェルの不満

一方で、演じた側が納得していたとは限りません。キャプテン・カーター役のヘイリー・アトウェルは2023年に米ポッドキャストで、決め台詞の直後に盾で真っ二つにされた扱いを振り返りました。あのカメオ出演はペギーにとってプラスにならなかった、と語っています(海外ドラマNAVI、2023年7月18日)。

正直に言うと、初見の私はこの場面を「豪華なゲストの無駄遣い」と感じました。ただ、ワンダの側から観直すと評価が変わります。イルミナティは、さらなる被害を防ぐためなら仲間のストレンジさえ処刑した集団でした。その理屈がワンダの力の前で何ひとつ通用しない。無力さそのものが、ワンダの恐ろしさを一番雄弁に語っていると思います。

おたくライター

イルミナティの場面は、2回目はワンダの表情と歩みだけを追ってみてください。初見の私はメンバーの顔ぶれに気を取られ、誰がどう倒されたかしか覚えていませんでした。ワンダの側から観ると、彼女が着実にアメリカへ近づいていく構図が見えてきて、脚本家が『エイリアン2』を例に挙げた意味がようやく腑に落ちました。

ワンダは最後に死んだのか?ワンダゴア山の崩壊と生死が明示されない結末

劇中で死亡は確定しておらず、脚本家マイケル・ウォルドロンも「まだ分からない」と解釈に委ねています。確かなのは、ワンダが自分の意思でダークホールドを葬ったことです。

最終決戦で、アメリカはワンダをアース838の家へ送り込みます。そこで838のビリーとトミーは、母と同じ顔をした侵入者に怯え、本当の母親を求めて泣き叫びました。我が子に拒まれ、838のワンダが子どもたちを守ろうとする姿を見たとき、ワンダはようやく自分が何をしてきたのかに気づきます。

ワンダはアメリカを手放し、ワンダゴア山の神殿を崩しました。全宇宙のダークホールドを道連れにするように、自らも崩れ落ちる瓦礫の中へ消えていきます。

彼女が死んだかどうかはまだ分かりません。

出典: ネタバレ! 脚本家がラストを語る『ドクター・ストレンジ MoM』と『ワンダヴィジョン』は矛盾してない? – VG+(バゴプラ)(脚本家マイケル・ウォルドロンの米Varietyインタビューの日本語訳)

ウォルドロンは同じインタビューで、ワンダは何らかの犠牲を払って全ての宇宙のダークホールドを破壊し、ほかの宇宙のワンダが誘惑されないよう守ったのだと説明しています。キャラクターを愛する気持ちは分かるが、作品に振り回されるのも楽しみの一部だ、とも語りました。

ファンの間では、崩落の瞬間に赤い光が見えたことを根拠に、ワンダは身を守って生き延びたのではないかという読みもあります(ciatr)。一方で、瓦礫に飲まれる描写をそのまま受け取れば、自らを犠牲にした結末にも見える。どちらにも読めるように撮られている、というのが正確なところでしょう。

私がこの結末で救われたのは、ワンダが罰されて終わるのではなく、自分で幕を引いている点でした。カマー・タージの魔術師もイルミナティも殺した彼女の罪は消えません。それでも最後の行動は、838の子どもたちと、どこかの宇宙にいる別のワンダを守る選択でした。オルセンの言う「悲劇的なヒーロー」という言葉が、いちばん重く響くのはこの場面だと思います。

ストレンジの額に開いた第三の目の意味は?前作でモルドが告げた警告とつながる報い

ダークホールドを使い、自分の遺体にまで入り込んだストレンジへの報いを示す結末として、脚本段階で加えられたものです。ハッピーエンドで終わらせないための、ホラー映画らしいどんでん返しでもあります。

脚本のウォルドロンはRolling Stoneのインタビューで、この結末を選んだ経緯を語っています。悪いことがたくさん起きる映画なのに、気づけばハッピーエンドになっていて、それが正しいとは思えなかったそうです。そこで考え続けたのが、前作『ドクター・ストレンジ』(2016年)でモルドがストレンジに告げた警告でした。英語原文では「The bill comes due.」、代償はいずれ必ず支払うことになる、という意味の言葉です。

ウォルドロンは、ウォンの言葉を借りて『自分の死体に憑依した』ストレンジに、何の報いもないのかと自問したとも語っています。ホラー映画の最後にあるどんでん返しのように、という言葉どおり、第三の目は「勝ったはずの主人公に残った不穏な印」です。

第三の目は、ダークホールドに堕ちたシニスター・ストレンジの額にもありました。英語版Wikipediaも、第三の目をダークホールドの使用と遺体へのドリームウォークの結果だと説明しています。ただし本作の時点では、616のストレンジが悪に堕ちた描写はありません。この目が力なのか呪いなのか、答えは本作の中では示されないのです。

ちなみに、結末は撮影開始の時点でもまだ決まっていなかったといいます(英語版Wikipedia)。第三の目は、作り手が悩んだ末に選んだ「代償」だったわけです。

ミッドクレジットのクレアとポストクレジットの店主

ミッドクレジットでは、シャーリーズ・セロン演じる女性クレアが現れます。彼女はストレンジが引き起こしたインカージョンを修復するよう求め、第三の目を開いたストレンジとともにダーク・ディメンションへ入っていきました。

クレアはマーベル・コミックスでは、前作の敵ドルマムゥの姪にあたる魔術師で、のちにストレンジと恋に落ちる人物です(シネマトゥデイ)。ウォルドロンは米Deadlineのポッドキャストで、クレアを登場させる前に、クリスティーンとの恋の物語にある程度区切りをつける必要があったと語っています(Screen Rant)。

ポストクレジットに登場するのは、劇中でストレンジに呪いをかけられ、自分で自分を殴り続けていたアース838の屋台の店主です。その呪いがようやく解けるだけの短い場面ですが、演じるブルース・キャンベルはサム・ライミ監督の盟友。自分の手で自分を殴るギャグは、ライミの『死霊のはらわた』シリーズを思わせる遊びでもあります(シネマトゥデイ)。

おたくライター

第三の目のラストに戸惑ったなら、前作『ドクター・ストレンジ』でモルドが警告する場面を観直してから、本作の最後の数分に戻ってみてください。私は2作を続けて観たことで、あの目が唐突な不気味さではなく「6年越しに回ってきたツケ」に見えるようになりました。ポストクレジットまで席を立たないのもお忘れなく。

ストレンジは何人登場した?別の自分たちとの違いが示す本当のテーマ

本作のストレンジを含めて主に4人が登場し、ほかの3人はいずれも力に頼って道を誤ったストレンジとして描かれます。違いを並べると、本作が「手放すことを学ぶ物語」だと見えてきます。

ストレンジいた宇宙選んだこと最期
ディフェンダー・ストレンジ冒頭の別の宇宙アメリカの力を奪おうとした怪物に致命傷を負わされて死亡。遺体は616に埋葬される
838のストレンジアース838サノスに勝つためダークホールドに頼ったインカージョンを起こし、イルミナティの決定で処刑される(物語開始前)
シニスター・ストレンジインカージョンで滅びた宇宙ダークホールドに堕ちた616のストレンジとの対決で倒される
本作のストレンジアース616アメリカの力を奪わず、本人に託した生存。ただし第三の目が開く

監督のサム・ライミは、カンバーバッチがストレンジの負の要素を広げて、別のストレンジを作り上げたと語っています。

例えば、『もしストレンジがより自分勝手だったら、どんな人生になっていただろうか?』と問いかけるんだ。

出典: 『ドクター・ストレンジ』続編、異世界ストレンジ誕生のカギは負の要素 サム・ライミ監督が証言 – シネマトゥデイ, 2022年5月4日(サム・ライミ監督)

ライミはさらに、本作のストレンジは「すべて自分が決めるべきだ」と思って物語を始め、少し手放して他者を信じることを学ばなければならないとも説明しています(英語版Wikipedia)。冒頭、クリスティーンはストレンジを、自分でメスを握らないと気が済まない人だと評し、「あなたは幸せ?」と問いかけます(シネマカフェ)。ここが彼の出発点です。

脚本のウォルドロンも、ワンダが抱える「支配」の問題と、ストレンジ自身の「コントロールしたい」欲求を鏡合わせにしたかったと語っています(英語版Wikipedia)。表の3人は、そのコントロール欲を力で押し通した姿だと読めます。

だからこそ、最終決戦の選択が効いてきます。ウォンはアメリカの力を奪ってワンダを止めるよう提案し、アメリカ本人もそれを受け入れました。それでもストレンジは力を奪わず、アメリカ自身に力を使うよう促します。冒頭のディフェンダー・ストレンジとは、正反対の選択です。

ワンダは力ずくで子どもたちを取り戻そうとし、ストレンジは力を他人に託した。失ったものを抱えた二人が、逆の答えを出したところに本作の芯があると私は考えています。MCUでのストレンジの歩みは、『アベンジャーズ/エンドゲーム』のネタバレ解説もあわせて読むとつながりやすくなります。

ワンダとイルミナティの描き方にX・Yahoo!知恵袋・5chはどう反応した?——予習の有無で分かれた受け止め方

『ワンダヴィジョン』やサム・ライミ監督の作品を知っているかで受け止め方が変わるという声と、ワンダの行方を案じる声が目立ちました。Yahoo!知恵袋では、観終わって分からなかった点を確かめる質問が中心です。

Xでの感想——『ワンダヴィジョン』を先に観るべきだったという声とワンダの行方を案じる声

X(旧Twitter)では、2026年9月から10月にかけて、本作を見返した人の投稿にワンダをめぐる声が目立ちました。

  • 公開時に観たときはよく分からなかったが、『ワンダヴィジョン』を全部観てから観るべきだったと振り返る声
  • 本作を観るならアベンジャーズシリーズに加えて、『ワンダヴィジョン』も観ておく必要があると勧める声
  • 観終えてもワンダが死んだのか分からず、生きていてほしいと願う声
  • 本作のヴィランを、MCUで一番好きなヴィランの一人に挙げる声

予習を勧める声が繰り返し出てくるのは、ワンダの動機が本作の中ではほとんど説明されないからだと思います。ダークホールドを手にした経緯も、双子が魔法で生まれた存在だったことも、ドラマを観た人には一言で通じ、観ていない人には伝わりにくい。好きなヴィランに挙げる声と生存を願う声が並ぶのは、ワンダが「倒すべき敵」と「救われてほしい人」の両方として描かれているからでしょう。

Yahoo!知恵袋で多かった疑問——ワンダが敵になった理由と最後の生死

Yahoo!知恵袋では、公開直後の2022年5〜6月に、鑑賞後の疑問を確かめる質問が多く見られました。

  • ワンダがなぜ敵になったのか分からない、という質問(2022年5月)
  • ワンダ(スカーレット・ウィッチ)は最後に死んだのか、という質問(2022年5月)
  • イルミナティがモルド以外あっさり倒されたのは、ワンダが強いからなのか、ダークホールドのせいなのか、という質問(2022年6月)
  • 最後にストレンジの目が三つになり、現れた女性と裂け目に入っていく場面の意味を尋ねる質問(2022年5月)

質問の顔ぶれは、本記事で扱ってきた論点とほぼ重なります。どれも映画の中で答えが言葉にされない部分です。ワンダの動機はドラマに、生死は解釈に、第三の目は前作に、答えの手がかりがある。劇場で一度観ただけでは埋まらない空白が、そのまま質問になっているのだと感じます。

5chでの評価——サム・ライミ作品を知っているかで楽しみ方が変わる

5ch(旧2ちゃんねる)では、2022年5月の公開中に、興行成績を話題にしたスレッドで本作の見方をめぐる書き込みがありました。

  • ワンダが強すぎて、戦闘の描写が淡白に感じたという書き込み
  • ドラマと本格的に合流したうえ、サム・ライミ監督作品の文脈を理解していないと楽しめない部分も多いという書き込み
  • それに対して、ライミ作品の文脈を知っていると面白いと返す書き込み

ライミの文脈とは、『死霊のはらわた』シリーズのホラー演出や、ブルース・キャンベルとの縁のことでしょう。墓から起き上がるストレンジ、亡者の魂、自分で自分を殴る店主。知っている人には監督の署名に見え、知らない人には唐突に見える。評価が前提知識に左右される作品であることが、この短いやり取りにも表れています。

媒体目立った反応温度感
X(旧Twitter)『ワンダヴィジョン』を先に観るべきだったという声、ワンダの生存を願う声感情的
Yahoo!知恵袋ワンダが敵になった理由、ワンダの生死、イルミナティの弱さ、第三の目冷静・確認型
5ch(旧2ちゃんねる)ワンダの強さへの不満、ライミ作品の文脈で楽しみ方が変わるという指摘議論型

登場人物・キャストと日本語吹替一覧

主人公ストレンジはベネディクト・カンバーバッチ(吹替 三上哲)、ワンダはエリザベス・オルセン(吹替 行成とあ)が演じています。

役名俳優日本語吹替本作での立ち位置
ドクター・スティーヴン・ストレンジベネディクト・カンバーバッチ三上哲主人公。別の宇宙のストレンジも演じ分ける
ワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチエリザベス・オルセン行成とあダークホールドに取り憑かれたヴィラン
アメリカ・チャベスソーチー・ゴメス鬼頭明里マルチバースを移動できる少女
ウォンベネディクト・ウォン田中美央現在のソーサラー・スプリーム
クリスティーン・パーマーレイチェル・マクアダムス松下奈緒ストレンジの元恋人。838ではイルミナティ側の研究者
カール・モルドキウェテル・イジョフォー小野大輔838のソーサラー・スプリーム
ニコデマス・ウエストマイケル・スタールバーグ志村知幸ストレンジの元同僚の医師

イルミナティのメンバーは前述の表のとおりです。838のビリーとトミーは、『ワンダヴィジョン』と同じジュリアン・ヒルヤードとジェット・クラインが演じています。

項目内容
日本公開日2022年5月4日(全米公開の5月6日より2日早い)
監督サム・ライミ
脚本マイケル・ウォルドロン(初期の開発段階はジェイド・ハリー・バートレットが担当)
製作ケヴィン・ファイギ
音楽ダニー・エルフマン
上映時間126分
位置づけ『ドクター・ストレンジ』(2016年)の続編。MCU28作目・フェーズ4
興行収入日本21億6,000万円、全世界9億5,580万ドル
評価Metacritic 60点、Filmarks 3.9(2026年10月2日時点)

ライミにとっては、『オズ はじまりの戦い』(2013年)以来となる長編監督作でした。前作の監督スコット・デリクソンは、本作では製作総指揮に回っています。日本の初日興行収入は約4億3,013万円で、MCU作品では『アベンジャーズ/エンドゲーム』『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』に次ぐ歴代3位のスタートでした(シネマカフェ)。

観る前・見返す前に押さえたい関連作品と観る順番

最低限『ワンダヴィジョン』を先に観ておくと、ワンダの動機と結末が一本につながります。本作は単体でも追えますが、つながりを知っているかどうかで、受け取れる情報量が大きく変わります。

作品本作とのつながり優先度
ドラマ『ワンダヴィジョン』(2021年)ワンダがダークホールドを手にし、双子を失う◎
『ドクター・ストレンジ』(2016年)モルドの警告、クリスティーンとの関係◎
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021年)MCU公開順の前作。ストレンジの禁断の呪文で起きたマルチバースの騒動○
アニメ『ホワット・イフ…?』(2021〜2024年)キャプテン・カーターの別バージョンの物語△

『ワンダヴィジョン』と前作『ドクター・ストレンジ』は、どちらもディズニープラスで見放題です。『ノー・ウェイ・ホーム』の結末は『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のネタバレ解説で、MCU全体の流れはMCU作品を時系列で整理した記事で確認できます。

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスを観るならどこ?【VOD比較】

見放題で観るならディズニープラスです。Amazon Prime Videoなどでは、レンタル・購入の別料金で観られます(2026年10月2日時点)。

本作は、一度観ただけでは3つの宇宙の移動を追いきれない作りです。2回目は、冒頭の遺体の埋葬、カマー・タージ襲撃前のワンダの会話、イルミナティの場面を確かめながら観てみてください。初見とは別の映画に見えてくるはずです。

サービス料金無料お試し期間配信状況おすすめ度
Disney+月額1,250円〜なし見放題◎
Amazon Prime Video月額600円〜30日間レンタル・購入(別料金)○
Hulu月額1,320円なしレンタル・購入(別料金)△

※2026年10月2日時点で確認した配信状況です。配信ラインナップは変わることがあるため、登録前に各サービスの作品ページを確認してください。

迷ったらディズニープラスをおすすめします。本作を見放題で観られることを確認できたのはディズニープラスで、ワンダの動機が描かれる『ワンダヴィジョン』と、モルドの警告がある前作『ドクター・ストレンジ』も、追加料金なしで続けて観られるからです。無料体験はないので、関連作をまとめて観る月に契約するのが無駄のない使い方です。

Amazon Prime Videoは、プライム会員でも本作はレンタル・購入の料金が別にかかります。表のもう1社も本作はストアでのレンタル・購入なので、本作だけをもう一度観たい方向けの選択肢と考えてください。

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本作にハマったら、Blu-ray/DVDや、ストレンジ、スカーレット・ウィッチのフィギュアを手元に置きたくなる方も多いはずです。公開から年数がたった作品なので、中古・フリマで状態のよいものを探すのも手です。

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📥 保存版:主要キャラクターの最終的な運命一覧

見返すときの手元メモとして、このままスクショしておくと便利です。

キャラクターいた宇宙結末きっかけ・直接の相手
ワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチアース616ワンダゴア山の崩落に消える(生死は劇中で明示されない)838の子どもたちに怯えられ、自ら神殿を崩す
ドクター・スティーヴン・ストレンジアース616生存。額に第三の目が開くダークホールドの使用と遺体へのドリームウォーク
アメリカ・チャベスユートピア・パラレル出身生存。カマー・タージで修行を始めるストレンジに促され、自分で力を使う
ウォンアース616生存ワンダに捕らえられた後、最終決戦でストレンジを助ける
クリスティーン・パーマーアース616生存。冒頭で別の男性と結婚式を挙げる—
クリスティーン・パーマーアース838生存。元の宇宙へ戻るアメリカの力で帰還
カール・モルドアース838生存616のストレンジに倒される
ブラックボルトアース838死亡(最初の犠牲者)スカーレット・ウィッチに口を消される
リード・リチャーズアース838死亡スカーレット・ウィッチに体をバラバラにされる
ペギー・カーターアース838死亡投げ返された自分の盾で胴を両断される
マリア・ランボーアース838死亡スカーレット・ウィッチに像を落とされる
チャールズ・エグゼビアアース838死亡スカーレット・ウィッチに首をひねられる
サラアース616死亡命と引き換えにダークホールドを破壊する
ディフェンダー・ストレンジ冒頭の別の宇宙死亡(遺体は616に埋葬)怪物に致命傷を負わされる
838のストレンジアース838死亡(物語開始前)イルミナティの決定でブラックボルトに処刑される
シニスター・ストレンジインカージョンで滅びた宇宙616のストレンジに倒されるダークホールドをめぐる対決

よくある質問(FAQ)

ワンダは最後に死んだの?生きてるの?

劇中では、生死ははっきり描かれていません。ワンダはワンダゴア山の神殿を崩して全宇宙のダークホールドを破壊し、崩落の中に消えます。脚本家マイケル・ウォルドロンも「まだ分からない」と解釈に委ねており、崩落の瞬間の赤い光から生存を読むファンもいます。

観る前に『ワンダヴィジョン』は観ておくべき?

観ておくのがおすすめです。ワンダがダークホールドを手にし、魔法で生んだ双子を失う経緯は、本作ではほとんど説明されません。全話を観る時間がなければ、最終話とポストクレジットだけでも先に観ておくと、ワンダの暴走の理由がぐっと理解しやすくなります。

イルミナティのメンバーは誰?

本作に登場するのは、アース838のモルド、ブラックボルト、リード・リチャーズ、ペギー・カーター、マリア・ランボー、チャールズ・エグゼビアの6人です。創設に関わった838のストレンジは、物語が始まる前に処刑されています。モルド以外の5人は、ドリームウォークしたワンダに殺されました。

ミッドクレジットに出てきた女性は誰?

シャーリーズ・セロン演じるクレアです。ストレンジが引き起こしたインカージョンの修復を求め、彼とともにダーク・ディメンションへ向かいます。マーベル・コミックスでは前作の敵ドルマムゥの姪にあたる魔術師で、のちにストレンジと恋に落ちる人物です。

ポストクレジットのピザ屋のおじさんは何だったの?

劇中でストレンジに呪いをかけられ、自分で自分を殴り続けていたアース838の屋台の店主です。ポストクレジットでは、その呪いがようやく解けます。演じたブルース・キャンベルはサム・ライミ監督の盟友で、自分を殴るギャグは『死霊のはらわた』シリーズを思わせる遊びです。

アース838ってどんな世界?

イルミナティが存在する別の宇宙で、本作の主な舞台の一つです。この世界のストレンジはサノスを倒した英雄として像が建てられていますが、実際はダークホールドに頼ってインカージョンを起こし、イルミナティに処刑されていました。838のワンダは、この世界で息子のビリーとトミーと暮らしています。

ホラーが苦手でも観られる?

少し覚悟は要りますが、MCUの大作として観られる範囲です。『死霊のはらわた』のサム・ライミ監督らしく、墓から起き上がるストレンジや、イルミナティが倒される場面など怖い描写があります。苦手な方は、明るい時間に配信で観るなど工夫すると安心です。

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスはどこで観られる?

見放題で観るならDisney+です。2026年10月2日時点で、Amazon Prime VideoやHuluほかではレンタル・購入の別料金で観られます。ディズニープラスなら『ワンダヴィジョン』と前作『ドクター・ストレンジ』も見放題なので、ワンダとストレンジの物語を続けて追えます。

まとめ

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』は、息子たちと暮らしたいワンダの願いがダークホールドに飲み込まれ、3つの宇宙を巻き込んでいく物語でした。イルミナティのあっけない全滅は、ワンダを最も恐ろしい存在として立てるための演出です。ワンダは最後に自らワンダゴア山を崩し、全宇宙のダークホールドとともに消えました。生死は劇中で明示されません。

ストレンジは、力に頼って道を誤った別の自分たちとは違い、アメリカに力を託すことを選びました。それでもダークホールドを使った代償は残り、額には第三の目が開きます。

見返すなら、冒頭の遺体の埋葬、カマー・タージ襲撃前のワンダの会話、838の子どもたちに怯えられる場面の3か所に注目してみてください。『ワンダヴィジョン』と続けて観れば、ワンダの最後の選択がきっと違って見えるはずです。

参考文献・出典

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