この記事は、ジェーン・ゴア・ゼウスの生死、題名の意味、エンドロール後の2つの場面まで含む核心のネタバレを扱います。
まだ観ていない方は、先に本編をご覧になることをおすすめします。
『ソー:ラブ&サンダー』のジェーン・フォスターは、ゴアに殺されたのではありません。ムジョルニアの力と引き換えに体が癌と戦えなくなり、ソーの腕の中で息を引き取ります。
ゴアは神々の抹殺ではなく娘ラブの復活を願って息絶え、ソーがその子を引き取りました。この二人組こそが、題名の「ラブ&サンダー」です。死んだと思われたゼウスは生きており、ジェーンはエンドロール後にヴァルハラで迎えられます。
叫ぶ巨大なヤギに笑い、ゼウスに全裸にされるソーに笑っていたのに、最後の10分で泣かされた。「ジェーンってゴアにやられたの?」と混乱したまま、エンドロールを眺めていた方も多いと思います。正直に書くと、私も初見ではジェーンの死を戦いの傷だと思い込んでいました。
ここでは先に「誰がどうなったか」を並べ、あらすじで流れを押さえてから、4つの「なぜ」を順にほどいていきます。最後はエンドロール後の2つの場面と、賛否が分かれた理由です。
※配信状況などは2026年10月時点の情報です。作中の台詞は最終版の英語字幕をもとにした趣旨の紹介で、日本語吹替・字幕の文言そのものではありません。
- 結末の骨組み:ジェーン・ゴア・ラブ・ゼウスが最後にどうなったか
- ジェーンの本当の死因と、ムジョルニアが彼女を選んだ理由
- ゴアが神殺しより娘の復活を選んだ理由と、ソーとの鏡像関係
- 題名「ラブ&サンダー」の意味と、ソーとラブのラストシーン
- ミッドクレジット(ゼウスとヘラクレス)とポストクレジット(ヴァルハラ)の意味
- 賛否が分かれた理由とX・知恵袋・5chの反応、見放題で観られる配信サービス
結末だけ先に:ジェーン・ゴア・ラブ・ゼウスは最後どうなる?
ジェーンは癌で息を引き取り、ゴアは娘ラブを蘇らせて息絶えます。ラブはソーが引き取り、死んだと思われたゼウスは生きていました。
経緯はこのあとの各見出しで追うので、まずは「誰が・どうなったか」だけを並べます。
- ジェーン・フォスター/マイティ・ソー:死亡。死因はステージ4の癌で、ゴアに殺されたのではない。ムジョルニアを使うたびに、体が癌と戦えなくなっていた
- ゴア(神殺し):死亡。ネクロソードの呪いで息絶える。ソーがとどめを刺したのではない
- ラブ(ゴアの娘):冒頭で飢えと渇きにより死ぬが、終盤にゴアの願いで蘇る。ソーが引き取る
- ソー:生存。ラブと二人で宇宙を旅し、人助けを続ける
- ゼウス:生存。ソーにサンダーボルトで胸を貫かれるが、ミッドクレジットで生きていたと分かる
- コーグ:生存。ゼウスに体を砕かれて顔だけになるが、結末で体が元に戻る
- ヴァルキリー、シフ:生存。ヴァルキリーはゴアに重傷を負わされ、シフは片腕を失う
- ヘラクレス、ヘイムダル:エンドロール後の場面にだけ登場する
ジェーンの死もゴアの死も、「誰かに倒された」のではありません。片方は病、片方は剣の呪いです。ここを押さえるだけで、結末の印象はかなり変わります。
笑いの多い映画が、最後は「愛すれば失う。それでも心を開いておくか」という問いで閉じる。私は本作をそう受け止めています。
『ソー:ラブ&サンダー』の作品データと登場人物——ゴア、マイティ・ソー、ゼウスとは
2022年7月8日に日米同時公開された、ソー・シリーズの4作目です。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)では第29作にあたり、監督は前作『マイティ・ソー バトルロイヤル』に続いてタイカ・ワイティティが務めました。
作品データ早見
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原題 | Thor: Love and Thunder |
| 公開日 | 2022年7月8日(日米同時公開) |
| 監督 | タイカ・ワイティティ(コーグ役で出演も) |
| 脚本 | タイカ・ワイティティ、ジェニファー・ケイティン・ロビンソン |
| 原作 | マーベル・コミック『マイティ・ソー』(スタン・リー、ラリー・リーバー、ジャック・カービー) |
| 音楽 | マイケル・ジアッチーノら |
| 上映時間 | 119分 |
| 興行収入 | 全世界 約7億6,090万ドル/日本 13億5,000万円 |
| MCUでの位置 | 第29作・フェーズ4。公開順は『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の次、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の前 |
公開は当初、2021年11月5日の予定でした。新型コロナの影響で2022年2月18日に延期されたあとも、2月11日、5月6日と公開日が動き、最終的に7月8日に落ち着いています。日本の週末動員ランキングでは、公開週に初登場1位でした。製作費は2億5,000万ドルです。
題名に「マイティ」が付かない点にも注意してください。1〜3作目の邦題は『マイティ・ソー』で始まりますが、本作の「マイティ・ソー」は、ジェーンが覚醒した姿の名前です。
登場人物とキャスト(吹替つき)
| キャラクター | 演者 | 日本語吹替 | 本作での立ち位置 |
|---|---|---|---|
| ソー | クリス・ヘムズワース | 三宅健太 | 雷神。ガーディアンズと宇宙を旅していた |
| ジェーン・フォスター/マイティ・ソー | ナタリー・ポートマン | 坂本真綾 | ソーの元恋人。ステージ4の癌を患う天体物理学者 |
| ゴア | クリスチャン・ベール | 子安武人 | 神を殺す剣を手にした「ゴッド・ブッチャー(神殺し)」 |
| ヴァルキリー | テッサ・トンプソン | 沢城みゆき | ニュー・アスガルドの王 |
| コーグ | タイカ・ワイティティ | 金谷ヒデユキ | ソーの友人。本作の語り手 |
| ゼウス | ラッセル・クロウ | 千葉繁 | 神々の街オムニポテンス・シティを仕切る神 |
| シフ | ジェイミー・アレクサンダー | 北西純子 | ソーの幼なじみの女戦士 |
| ラブ | インディア・ローズ・ヘムズワース | 安藤紬 | ゴアの娘 |
| アクセル | キーロン・L・ダイアー | 木村皐誠 | ヘイムダルの息子 |
| ピーター・クイル/スター・ロード | クリス・プラット | 山寺宏一 | ガーディアンズのリーダー |
エンドロール後には、ヘラクレス(ブレット・ゴールドスタイン/吹替:神奈延年)とヘイムダル(イドリス・エルバ/吹替:斉藤次郎)が登場します。ニュー・アスガルドの劇中劇では、マット・デイモン、ルーク・ヘムズワース、サム・ニールが前作に続いてロキ、ソー、オーディンを演じ、ヘラ役でメリッサ・マッカーシーが加わりました。
なお、ジェフ・ゴールドブラム(グランドマスター)とピーター・ディンクレイジ(エイトリ)は撮影に参加しましたが、出演場面は本編からカットされています。
前作からのつながり——ソーはなぜガーディアンズと宇宙にいたのか
ソーは『アベンジャーズ/エンドゲーム』のラストで、ニュー・アスガルドの王位をヴァルキリーに譲りました。そしてガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの船に乗り、宇宙へ旅立っています。その経緯は『アベンジャーズ/エンドゲーム』のネタバレ解説で整理しています。
ムジョルニアが砕けているのは、前作『マイティ・ソー バトルロイヤル』で、ソーの姉ヘラに握りつぶされたからです。いまソーが振るう斧ストームブレイカーは、『インフィニティ・ウォー』で手にした武器でした。ヘイムダルも同作でサノスの襲撃により命を落としており、本作の息子アクセルは父を亡くした子どもです。その場面は『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のネタバレ解説で詳しく追っています。
観る前に「本作のマイティ・ソー=ジェーン」とだけ覚えておくと、ニュー・アスガルドの場面で置いていかれません。初見の私は、ムジョルニアを振るう「もう一人のソー」の正体が分からず、ソーと一緒に固まっていました。仮面の下からジェーンの顔が出てきて、ようやく題名から「マイティ」が外れた意味がつながったんです。
ゴアの誕生から永久の祭壇まで:結末までのネタバレあらすじ
神に見捨てられて娘を失ったゴアが神殺しになり、ニュー・アスガルドの子どもたちをさらいます。ソーとジェーンが救出に向かい、宇宙の中心にある「永久(とこしえ)」で決着がつきます。
冒頭——ラプーに見捨てられたゴアが「神殺し」になる
物語は、ほとんどの命が絶えた砂漠の星から始まります。神ラプーを信じる一族の生き残りゴアは、幼い娘ラブを連れてさまよっていました。祈りは届かず、ラブは飢えと渇きで命を落とします。
声に導かれたゴアがたどり着いたのは、緑の楽園でした。そこでは神ラプーが、神を殺す剣ネクロソードの持ち主を倒した祝宴を開いています。ゴアは救いを求めますが、ラプーは英語の台詞で「お前に永遠の報いなどない(There’s no eternal reward for you)」と言い放ちました。
信仰を捨てたゴアは、ラプーに殺されかけます。そのとき、ネクロソードが新しい持ち主にゴアを選びました。ゴアはラプーを斬り、全ての神を殺すと誓います。
ガーディアンズとの別れとシフの救難信号
一方のソーは、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと宇宙で人助けを続けていました。冒頭のコーグの語りによれば、愛する者を次々に失ったソーは、心が二度と壊れないように隠してしまったといいます。
各地で神が殺される中、ソーは幼なじみシフの救難信号を受け取ります。ガーディアンズと別れる前、ピーター・クイルはソーに、迷ったら愛する人の目を見ろ、という趣旨の助言を残しました。駆けつけた先のシフは片腕を失っており、神殺しの次の標的はアスガルドの民だと告げます。
ニュー・アスガルド襲撃と「マイティ・ソー」の正体
地球では、ソーの元恋人ジェーン・フォスターがステージ4の癌と闘っていました。化学療法はほとんど効きません。ムジョルニアに呼ばれた気がしたジェーンは、その力にすがるようにニュー・アスガルドを訪れます。観光名所として展示されていたハンマーの破片が光り、ムジョルニアは元の姿に戻ってジェーンを選びました。
ソーがニュー・アスガルドに戻ると、ちょうどゴアの襲撃が始まります。影の怪物と戦う人々の中に、ムジョルニアを振るう「もう一人のソー」がいました。仮面の下から現れたのはジェーンです。3、4年ぶりくらい?と聞くジェーンに、ソーは「8年7か月と6日」と即答します。日数まで数えていたのは、ソーのほうでした。
ゴアは退けられますが、ヘイムダルの息子アクセルを含む子どもたちが、影の領域へさらわれてしまいます。
オムニポテンス・シティとゼウス——コーグが砕かれ、ゼウスが貫かれる
ソー、ジェーン、ヴァルキリー、コーグは、神々の街オムニポテンス・シティへ援軍を頼みに行きます。ところが神々を仕切るゼウスは、どの神も自分の民を見守るだけだ、アスガルドの問題はアスガルドの問題だと取り合いません。
ゼウスは、神殺しが「永久」にたどり着くことはない、と口にします。「永久」は宇宙の中心にいて、最初にたどり着いた者の願いを叶える存在。神殺しがそこへ行けば、神々をまとめて消し去れるかもしれない、と一行は気づきます。それでもゼウスは、ゴアは鍵を持っていないから大丈夫だと言い、街の場所を知ったソーたちを閉じ込めようとしました。
脱出の戦いで、ゼウスのサンダーボルトがコーグの体を砕きます。ソーはそのサンダーボルトをつかんで投げ返し、ゼウスの胸を貫きました。サンダーボルトはヴァルキリーが奪い、一行はヤギが引く船で逃げ出します。コーグは顔だけになっても、生きていました。
船上の告白——ジェーンの癌と「君が僕をふさわしい者にした」
逃げ出した船の上で、ソーはジェーンに、もう一度一緒にいたいと打ち明けます。返ってきたのは「癌なの」という告白でした。診断は約半年前で、ステージ4。科学がだめならヴァイキングの宇宙の魔法に、と考えてニュー・アスガルドに来たのだとジェーンは語ります。
ソーは、ムジョルニアが君を選んだのは君がふさわしいからだ、と伝えます。そして、出会った頃の自分はふさわしくなかった、君が僕をふさわしい者にした(You made me worthy.)と続けました。この言葉の重みは、のちの見出しでもう一度扱います。
影の領域の罠——ストームブレイカーが「鍵」だった
一行は影の領域に乗り込みますが、子どもたちの姿はありません。ジェーンは、ストームブレイカーで呼び出すビフレストこそが「永久」の扉を開く鍵だと気づき、斧を遠くへ投げ捨てました。子どもたちは、ソーに斧を持ってこさせるための罠だったのです。
それでもゴアは「斧を呼べ(Call the axe)」とソーに迫ります。ヴァルキリーはゴアに深手を負わされ、一行はいったんニュー・アスガルドへ退きますが、その途中でストームブレイカーはゴアに奪われてしまいました。
永久の祭壇の決戦——子どもたちに力を分け、ジェーンが駆けつける
ニュー・アスガルドに戻ると、ジェーンはひどく衰弱していました。何かがジェーンの体の癌と戦う力を奪っている、と告げられます。ソーはジェーンに生きてほしいと頼み、ゼウスから奪ったサンダーボルトを手に、一人で「永久」へ向かいました。
祭壇で子どもたちを見つけたソーは、サンダーボルトの力で一人ひとりに自分の力を分け与えます。子どもたちが影の怪物と戦うあいだ、ソーはゴアに挑みますが、押されていきます。そこへ、ムジョルニアを手にしたジェーンが駆けつけました。
ソーはストームブレイカーを取り戻し、アクセルに子どもたちを地球へ連れ帰らせます。そしてソーとジェーンは、力を合わせてネクロソードを破壊しました。ただ、「永久」への扉はすでに開いていました。
扉の向こうで、ゴアは願いを口にしようとしていました。ソーはゴアを力ずくで止める代わりに、娘を取り戻せと語りかけ、死にゆくジェーンのそばに戻ります。ジェーンはソーの腕の中で息を引き取り、ゴアは娘ラブの復活を願って、ラブをソーに託して息絶えました。

結末で誰が死んだ?ジェーン・ゴア・ゼウス・コーグの生死と「手を下した者」
ジェーンは病で、ゴアは剣の呪いで死にます。どちらも、誰かがとどめを刺したわけではありません。ゼウスとコーグは生きています。
ここは要約で誤解されやすいところです。「ソーとジェーンがゴアを倒した」「ジェーンは戦いの末に命を落とした」という書き方は、半分だけ正しい。手を下したのは誰か、死因は何かを、人物ごとに分けて押さえます。
ジェーン——ゴアではなく病。ソーの腕の中で
ジェーンの死因は、ステージ4の癌です。ゴアの剣に倒れたのではありません。ニュー・アスガルドに戻ったとき、何かがジェーンの体の癌と戦う力を奪っている、と告げられました。
その「何か」がムジョルニアでした。最後の戦いに加わったあと、ジェーンは「永久」の領域で、ソーの腕の中で息を引き取ります。とどめを刺した者は、この場面にはいません。
ゴア——とどめはネクロソードの呪い
ゴアを倒したのは、ソーの雷ではありません。劇中でネクロソードは、神を殺せる代わりに、持ち主を少しずつ蝕んで殺す古い武器だと説明されます。ゴアの死因は、この剣の呪いです。
ソーが「永久」へ発つ前、深手を負ったヴァルキリーは、あの剣が奴の力の源だ、剣がなければ長くはもたない(He won’t survive long without it.)と言っていました。その読みどおり、剣を失ったゴアに残された時間は、娘を蘇らせて別れを告げるぶんだけでした。
ラブ——冒頭で飢えにより死に、「永久」の願いで蘇る
ラブは冒頭で、誰かに殺されたのではなく、飢えと渇きで命を落とします。終盤、ゴアが「永久」に願ったことで蘇り、ソーに引き取られました。
ゼウス——胸を貫かれても生きていた
オムニポテンス・シティで、ソーは投げ返したサンダーボルトでゼウスの胸を貫きました。逃げる船の上でも「ゼウスを殺した」という会話が交わされ、観客もそう受け取ります。ところがミッドクレジットで、ゼウスは生きていたと分かります。
コーグ・シフ・ヴァルキリー——重傷を負った3人のその後
コーグはゼウスに体を砕かれ、顔だけになって生き延びました。結末では体が元に戻り、クローナン人のドウェインと新しい暮らしを始めたと本人が語ります。
シフはゴアの襲撃で片腕を失いましたが、生きています。ヴァルキリーも影の領域でゴアに重傷を負わされましたが、生還しました。
2回目に観るなら、ニュー・アスガルドに戻った直後、ソーが病床のジェーンに話す台詞を字幕でゆっくり追ってください。初見の私は、ジェーンが影の領域でゴアにやられた傷が原因だと思い込んでいました。ハンマーを使うたびに人間としての体力が吸い取られる、と説明されていると気づいて、ラストの見え方が変わりました。
ジェーンはなぜ死んだ?ゴアではなく癌——ムジョルニアが「守った」代償
ムジョルニアを使うたびに人間としての体力が奪われ、体が癌と戦えなくなっていたからです。ジェーンはそれを知ったうえで、もう一度ハンマーを手に取りました。
癒やしを求めてニュー・アスガルドへ
ジェーンが癌と診断されたのは、船上の告白によれば約半年前です。疲れを感じていただけなのに、ステージ4だと告げられました。化学療法はほとんど効かず、親友のダーシー・ルイスに一人で抱え込まないでと言われても、ラボにこもって答えを探していました。
科学で治せないなら、ヴァイキングの宇宙の魔法に賭けてみよう。ジェーンがニュー・アスガルドへ向かったのは、ムジョルニアが自分を呼んでいる気がしたからです。ハンマーの力で治るかもしれない、と本人も語っています。
力の代償——「人間としての体力」を吸い取っていた
ところが、ハンマーは病を治しませんでした。変身しているあいだは雷神として戦えても、ジェーンの体は確実に弱っていきます。出発前、体調の異変をヴァルキリーに見抜かれ、黙っていてほしいと頼む場面がその兆しです。
ニュー・アスガルドに戻ったあと、ソーはジェーンに真実を伝えます。ハンマーを使うたびに人間としての体力が吸い取られ、体が癌と戦えなくなっている(draining all of your mortal strength)、と。守るはずの力が、ジェーンの死期を早めていたのです。
「生きてほしい」ソーと「戦い続けたい」ジェーンの選択
ソーは、ちょっと子どもたちを迎えに行って悪党を倒し、すぐ戻るから、ここで休んでいてほしいと頼みます。ジェーンは、この時間を延ばして何になるのかと問い返しました。英語の台詞でソーは、愛しているから、ずっと愛していた(Because I love you. I’ve always loved you.)と答えています。
ジェーンの返しも印象的です。船上でソーは、子どもたちを家族のもとへ帰したいと言うジェーンを「真のソーらしい言葉だ」とたたえていました。ジェーンはその言葉を、癌じゃない真のソーらしい言葉ね(Spoken like a true Thor who does not have cancer.)とやり返します。笑いながら、いちばん痛いところを突く一言です。
最後にソーは、選ぶのは君だと告げ、一人で出発しました。ジェーンの返事は、必ず戻ってきて(You better come back to me.)。それでもジェーンは、ソーが追い詰められたとき、ハンマーを手に祭壇へ現れます。
公開時、監督のタイカ・ワイティティはジェーンの描き方についてこう話していました。
ソーを待ち続ける、単なる地球の科学者としての彼女はもう見たくなかった
出典: ソー:ラブ&サンダー:ナタリー・ポートマン“ジェーン”はなぜヒーローに? 「誰も予測していなかった形」のカムバックのワケ – MANTANWEB, 2022年7月10日
待つ側から、自分で選ぶ側へ。ジェーンが最期に戦うことを選んだのは、この狙いの延長にあると私は思います。命を延ばすことより、マイティ・ソーとして子どもたちを救う時間を選んだ。病に負けた最期ではなく、自分で決めた最期として描かれています。
最期の耳打ちと「Keep your heart open」
「永久」の領域で、ジェーンはソーの腕の中にいます。ハンマーを手にしてから、もう一つ人生をもらったようだった、とジェーンは語ります。二人は「人間にしては悪くない」「神にしては悪くない」と言い交わしました。
それからジェーンは、決め台詞を思いついたと言ってソーに耳打ちします。何を言ったのかは、観客には聞こえません。ソーは、完璧だ、今までで最高だと答えました。
船上のジェーンは、悪党を前に言う決め台詞を探して「Eat this hammer!」などの案を並べていました。祭壇の戦いでは、マイティ・ソーの名を名乗ったうえで「Eat my hammer!」と叫んでいます。その決め台詞探しの最後の答えを、ジェーンはソーにだけ明かしたわけです。
決め台詞の中身について、ナタリー・ポートマンは海外のインタビューで、具体的な台詞はあったが教えるつもりはない、という趣旨の発言をしたと伝えられています(映画ブログのginema-nutsが紹介)。
続けてジェーンは、心を開いたままでいて(Keep your heart open.)と言い残し、愛していると伝えて息を引き取りました。この一言は、のちの見出しで扱う「心を隠したソー」への答えになっています。
船上でジェーンが決め台詞の案を並べる場面は、笑いどころとして流さずに覚えておいてください。初見の私は、ソーの「This ends here and now」と比べて微笑ましいやり取りだと思っただけでした。2回目にこの場面を覚えたまま最期の耳打ちを迎えると、聞こえない一言のほうが、どんな台詞より重く響きました。
なぜムジョルニアはジェーンを選んだ?第1作から続く「ふさわしい者」の物語の終着点
交際していた頃のソーが、ムジョルニアに「いつも彼女を守ってくれ」と頼んでいたからです。そしてソーは、ジェーンこそ自分をふさわしい者にした人だと語ります。
回想に隠された「頼みごと」
ムジョルニアがジェーンを選んだ理由は、コーグが語る二人の恋の回想の中にあります。交際していた頃のソーは、ジェーンを見つめながらムジョルニアに頼みごとをしていました。いつも彼女を守ると約束してくれ(I need you to promise me you’ll always protect her.)と。
ソー自身は、その頼みが魔法になっていたとは気づいていません。砕けたハンマーが地球のジェーンのもとで蘇ったのは、何年も前の頼みを守り続けていたから。ギャグの多い回想に、本作いちばんの伏線が紛れ込んでいます。
皮肉なのは、守るための力がジェーンの体を弱らせたことです。それでもハンマーは、ジェーンに最後まで戦う力と、自分で結末を選ぶ自由を与えました。「守る」の意味を、本作はそこまで広げているのだと思います。
第1作の銘と、船上の「君が僕をふさわしい者にした」
シリーズ第1作『マイティ・ソー』(2011年)で、父オーディンはムジョルニアに、ふさわしい者だけが扱える魔法をかけました。そのとき唱えた銘は「Whosoever holds this hammer, if he be worthy, shall possess the power of Thor.」。このハンマーを持つ者は、ふさわしき者ならばソーの力を得る、という意味です。
本作の船上で、ソーはジェーンにこう振り返ります。出会った頃の自分はふさわしくなく、あのハンマーを持ち上げられなかった。困っている人を助けることほど大きな目的はないと教えてくれたのは君で、君が僕をふさわしい者にした、と。
ハンマーに選ばれたのはジェーンでも、ソーをふさわしい者にしたのもジェーンだった。第1作の公開から11年。二人の物語を、この一言がつなぎ直しています。
子どもたちへのスピーチは銘のもじり
この「ふさわしさ」は、祭壇の場面で形を変えて現れます。ソーは子どもたちに武器を持たせ、英語でこう宣言しました。この武器を持つ者は、家に帰れると信じ、心が真であるなら、ふさわしき者である。そして期間限定で(for limited time only)ソーの力を得る、と。
第1作の銘のもじりです。「期間限定で」と付け足すあたりはいかにもワイティティらしい笑いですが、中身は真剣です。ソーはもう、ふさわしさを父やハンマーに認めてもらうものとして扱っていません。帰りたいと願う子どもたちに、自分の力を分け与えています。
コーグの語り「ふさわしいとは何かを教えた」
結末のコーグの語りは、ジェーンを宇宙のヴァイキング、マイティ・ソー、ドクター・ジェーン・フォスターと紹介します。その犠牲は宇宙を救い、ふさわしいとはどういうことかを皆に教えた(taught us all what it means to be worthy)、と。
第1作でハンマーに認められたのはソーでした。本作ではハンマーがジェーンを選び、ソーは子どもたちに力を託します。「ふさわしい者」の物語は、ハンマーを持つ資格の話から、誰かを守るために心を使う話へと、4作目でたどり着いたのだと私は読んでいます。
第1作『マイティ・ソー』を観た方は、ハンマーの銘の英文を思い出してから祭壇の場面を見返してください。私は初見で「for limited time only」に笑っただけで、もじりに気づきませんでした。銘と並べて聞き直したとき、ソーが選ばれる側から力を分け与える側に回ったのだと分かって、子どもたちの場面で泣いてしまいました。
ゴアはなぜ最後に神々の抹殺ではなく娘を選んだ?ソーとの鏡像と「心を開いたままでいて」
ソーが倒すことより、死にゆくジェーンのそばにいることを選び、「お前も愛を選べる」と示したからです。ゴアは復讐ではなく、娘への愛を思い出しました。
ゴアとソーは「愛する者を失った」同じ側にいた
ゴアとソーは、鏡に映したような二人です。ゴアは娘を失い、祈った神に見捨てられて、神を殺す側に回りました。ソーは家族と仲間を次々に失いました。冒頭のコーグの語りによれば、心が二度と壊れないように隠してしまったといいます(he hid his heart … so it could never be broken again)。
どちらも、愛したものを失った痛みから身を守ろうとしていました。違うのは、ゴアが痛みを復讐に変え、ソーが痛みから目をそらした点です。
影の領域で、ゴアはヴァルキリーにも、仲間の女戦士たちが殺されたとき神々は助けたかと問いかけています。神に失望した者を見つけては、自分の側に引き込もうとする。ゴアの言葉が刺さるのは、半分は正しいからです。
クイルの「空っぽよりつらいほうがいい」
ソーが変わるきっかけを作ったのは、ガーディアンズのピーター・クイルです。別れる前、クイルはソーに、愛を失うつらさは、何も感じない空っぽよりましだ(that shitty feeling is better than feeling empty)と話します。
ソーはこの言葉を、船上でジェーンに想いを打ち明けるときにそのまま使いました。失うのが怖くて人を遠ざけてきたけれど、もうそんな生き方はしたくない、と。
「お前の痛みは分かる」をソーが返す
影の領域で、ゴアはソーに向かって、お前の痛みは分かる、愛は痛みだ(I know your pain. Love is pain.)と言いました。自分にも娘がいた。高い力に祈ったが、娘は死んだ、と。
「永久」の前で、ソーは同じ言葉をゴアに返します。お前の痛みは分かる、だがこのやり方は違う(I know your pain, but this isn’t the way.)。お前が求めているのは死や復讐ではなく、愛だ、と。
ゴアはこのとき、ここで止まったら父親失格だという趣旨のことを口にしています(What kind of father would I be if I stopped?)。神々を消す願いも、ゴアにとっては娘のための復讐でした。
ソーは倒すことより「そばにいること」を選んだ
ソーはゴアを力ずくで止めませんでした。最期の時間をお前と過ごす理由はない、彼女と一緒にいられるのだから、と背を向けます。そして、自分は愛を選んだ、お前もそうできる、娘を取り戻せる(I choose love. You can, too. You can bring her back.)と語りかけました。
ゴアは、自分はもうすぐ死ぬから娘は一人になってしまう、とためらいます。ソーの答えは、一人にはならない(She won’t be alone.)。ラストの約束は、ここでもう交わされています。
ジェーンとソーの別れを目にしたゴアは、神々の抹殺ではなく、娘ラブの復活を願いました。蘇ったラブと再会したゴアは、ソーに、この子を守ってくれ、私の愛を守ってくれ(Protect her. Protect my love.)と頼んで息絶えます。
冒頭でゴアがラプーに祈ったのも、自分のためではなく娘のためでした(I pray to you, not for me, but for my daughter.)。最後の願いで、ゴアはその祈りに戻ったのです。
ゴアを演じたクリスチャン・ベールは、ワイティティ監督の作風をこう評していました。
タイカ監督本人の才能はもう最高だね。これ以上ないほど最高なコメディに仕立ててから、その映画に真の魂を吹き込んでみせる。そういうことができる男なんだよ
出典: クリスチャン・ベール&ラッセル・クロウがMCU初参戦 「ソー ラブ&サンダー」を勢いづける実力派に注目 – 映画.com, 2022年7月2日
コメディの下に魂を、というベールの見立てどおり、本作の芯はゴアとソーのこの対話にあると思います。ジェーンが最期に残した「心を開いたままでいて」は、心を隠してきたソーへの言葉です。そして、娘への愛を思い出したゴアの選択とも重なっています。
ギャグが合わなかった方こそ、2回目はゴアとジェーンが出てくる場面だけを追ってみてください。冒頭のラプーへの祈り、影の領域での「愛は痛みだ」、祭壇での「お前も愛を選べる」。私はこの3つをつないで観直して、ゼウスに全裸にされる場面まで含めて、心を閉ざした神が心を開き直す話だったのだと腑に落ちました。
題名「ラブ&サンダー」の意味とは?ソーがゴアの娘ラブを引き取ったラストシーン
ソー(サンダー)と、彼が引き取ったゴアの娘ラブの二人組のことです。結末でコーグがそう語ります。
「Sad God」から「Dad God」へ
結末のコーグの語りによると、ソーは生きる理由、愛する理由を見つけて新しい旅に出ました。ソーを悲しみの神(Sad God)から父さん神(Dad God)に変えた小さな誰か。それがラブです。
朝の場面では、ソーがラブに地球の朝食(ソーは「パンフラップ」と呼ぶ)を出し、ブーツを履く、履かないで言い合いになります。出かける前には、母に教わった言葉として、大人の言うことを聞き、怖がっている子やいじめられている子がいたら助けてあげなさい、と送り出す。ソーの母の教えが、ここで次の世代に手渡されています。
コーグは最後に、宇宙のヴァイキングと「永久」から生まれた少女の二人は多くの名で呼ばれてきたが、よく知る人たちには「ラブ&サンダー」と呼ばれている、と語ります。題名は愛と雷の言葉遊びであり、この親子の名前でもあったわけです。
「永久」から生まれた少女と、冒頭と同じ言葉
蘇ったラブは、ただの女の子ではありません。コーグの語りでは、ラブは「永久」から生まれ、神の力を持つ少女として紹介されます。ソーとラブは二人で、戦えない人のために戦い続けています(fighting the good fight for those who can’t fight good)。
この言い回しは、冒頭のコーグの語りでソーを紹介したときの言葉と同じです。物語は、ソー一人を紹介した言葉で、ソーとラブの二人を紹介して閉じます。
船上の伏線「ソーはいい父親になる」
この結末には、ささやかな前振りがあります。オムニポテンス・シティから逃げる船の上で、コーグとヴァルキリーがソーとジェーンの様子を眺めながら話す場面です。会話の中で、ソーはいい父親になると思う(I think Thor would make a great dad.)という一言が出ます。
そのときは、ソーとジェーンの子どもを想像した冗談でした。答えは思わぬ形で返ってきます。ソーは、宿敵だったゴアの娘の父親代わりになったのです。
コーグとドウェイン、アクセルと子どもたちのその後
コーグは体を取り戻し、ドウェインというクローナン人とこれからを築いていると語ります。子どもたちは無事にニュー・アスガルドへ帰り、王のヴァルキリーの方針で自衛の訓練を受けるようになりました。ヘイムダルの息子アクセルは、父譲りの目の力を使えるようになっています。
ラブを演じたのはヘムズワースの実の娘
ラブを演じたのは、クリス・ヘムズワースの実の娘インディア・ローズ・ヘムズワースです。幼い頃のソーはヘムズワースの双子の息子が演じ、ニュー・アスガルドの子どもたちの中にはベール、ポートマン、ワイティティの子どもたちもいます。ラストの朝の場面が本物の家族の団らんのように見えるのは、そのせいもあるのでしょう。
ジェーンの最期の会話と、ラブとの朝。二つを続けて観ると、題名の意味がすとんと胸に落ちてきます。
ミッドクレジットとポストクレジットの意味は?生きていたゼウスとヘラクレス、ヴァルハラのジェーン
ミッドクレジットでは、生きていたゼウスが息子ヘラクレスにソー討伐を命じます。ポストクレジットでは、ジェーンがヴァルハラでヘイムダルに迎えられます。
ミッドクレジット——ゼウスの怒りとヘラクレス
胸を貫かれたはずのゼウスは、生きていました。英語の台詞でゼウスは、かつて神であることには意味があったと嘆きます。今の人々は空を見上げても雨や雷を願わず、スーパーヒーローを見たがるだけ。いつから我々は笑い者になったのか、と。
そしてゼウスは、ソーが空から落ちるとき人々はまた我々を恐れる、と言い、息子ヘラクレスに念を押します(Do you understand me, Hercules?)。ヘラクレスを演じたのはブレット・ゴールドスタインで、登場はこの場面だけです。
ポストクレジット——ヘイムダルが「息子の面倒を見てくれてありがとう」と迎える
エンドロールの最後、ジェーンはヴァルハラの門にたどり着きます。迎えたのは、『インフィニティ・ウォー』で命を落としたヘイムダルでした。
ヘイムダルはジェーンに、死んだようだね、と声をかけ、息子の面倒を見てくれてありがとう(Thank you for looking after my son.)と礼を言います。そして、神々の地へようこそ、ヴァルハラへようこそ、と迎え入れました。ジェーンが命がけで救った子どもたちの中に、ヘイムダルの息子アクセルがいたからです。
冒頭の「永遠の報いはない」とヴァルハラ
ここで冒頭を思い出してください。神ラプーはゴアに、お前に永遠の報いなどない、と言い放ちました。影の領域でもゴアはジェーンに、剣が自分に力を与えたようにハンマーは君に力を与えたが、運命は変えなかった、と語ります。そして、私たちに永遠の報いはない(There is no eternal reward for us.)と続けました。
劇中では、ヴァルハラに行けるのは戦いで死んだ戦士だけだ、という話が2度出てきます。片腕を失ったシフの場面と、出発前にヴァルキリーがジェーンに、ヴァイキングになったからには戦いで死なないとヴァルハラに行けない、と冗談めかして言う場面です。
ジェーンは子どもたちを救う戦いに加わった末に息を引き取り、ヴァルハラに迎えられました。信じた者に報いはない、と言い切ったラプーやゴアの言葉に、物語は最後の最後で反論しているのだと私は読んでいます。
ソーの次の登場は?「Thor will return」と『ドゥームズデイ』
エンドロールの最後には「Thor will return(ソーは帰ってくる)」の文字が出ます。英語版Wikipediaによれば、監督のワイティティはこの一文が加えられたことを知らなかったそうです。
MCUの公開順で本作の次に来る映画は、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022年)です。
ソーを演じるクリス・ヘムズワースは、2026年12月18日に日米同時公開予定の『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』の出演者として発表されています。ただ、ソーがどんな役回りになるのか、ゼウスやヘラクレスとの因縁が描かれるのかは、2026年10月時点では分かりません。発表済みの顔ぶれは『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』のキャスト一覧にまとめています。
エンドロール後の場面は、冒頭の砂漠の場面と並べて観ると意味が変わります。初見の私は、ヘイムダルの「ありがとう」を、アクセルの父親らしい一言としか受け取れませんでした。2回目、ラプーの「永遠の報いはない」を覚えたまま観て、あの短い場面がゴアの冒頭への答えになっていると気づきました。
なぜ賛否が分かれた?ギャグの多さとジェーン・ゴアの悲劇の温度差——批評家と視聴者の反応
コメディの多さと、ジェーンやゴアの重い物語の温度差が、評価を割りました。主演のクリス・ヘムズワース自身も、のちに「ふざけすぎた」と振り返っています。
批評家の評価と、主演ヘムズワースの反省
批評家の評価は割れました。英語版Wikipediaによると、批評サイトMetacriticの加重平均は100点満点で57点、「賛否両論または平均的」という評価です。観客調査のCinemaScoreはB+でした。ヘムズワース、ベール、ポートマンの演技が称賛された一方、VFXとトーンのちぐはぐさが批判されています。
興行は好調な滑り出しでした。北米のオープニング週末は1億4,420万ドルで、ソー・シリーズ最大のデビューです。ただ2週目には大きく落ち込み、MCUでも目立つ下げ幅になりました。
公開の翌年、ヘムズワースは米GQのインタビューで本作をこう振り返っています。
ぼくらはふざけすぎてしまったんだと思う
出典: クリス・ヘムズワースが反省 「ソー ラブ&サンダー」は「バカバカしすぎた」 – 映画.com, 2023年6月8日
ただ、私はこの反省を「ギャグが全部失敗だった」という意味には取っていません。叫ぶヤギやゼウスの場面と、ジェーンの病床やゴアの祈りの場面が、同じ温度で並んでしまった。その落差に置いていかれた人と、落差ごと泣けた人に分かれた、というのが実感に近いと思います。
Xでの感想——観直した人はジェーンの最期とゴアに心を動かされた
X(旧Twitter)では、2026年9月に本作を観直した人の投稿に、ジェーンの最期とゴアに心を動かされたという声が目立ちました(Yahoo!リアルタイム検索で確認)。
- ジェーンに『ダーク・ワールド』以来の大きな見せ場を与え、二人をきちんと別れさせてくれて良かった、という声
- ふざけすぎと言われていたが、ゴアとジェーンの場面になると急にシリアスになるので、あのくらいでちょうどいい、という声
- ゴッド・ブッチャー(ゴア)が可哀想すぎる、ジェーンも、と嘆く声
- ゴアは好きだが、作品が面白かったかと聞かれると素直にうなずけない、という声
公開から4年たって観直すと、作品全体の出来より、ジェーンとゴアの物語に目が向くようです。ギャグの好みが合わなくても、二人の結末は届いていると感じました。
Yahoo!知恵袋で多かった疑問——ジェーンは戻る?ソーの今後は?
Yahoo!知恵袋では、ジェーンの死やヴァルハラの意味、ソーの今後を尋ねる質問が多く見られました。
- ジェーンはヴァルハラへ行ったが今後復活はあるか、という質問(2022年7月)。回答には、ヴァルハラの場面は救済ではなく再登場の布石だと思う、という意見がついた
- ジェーンがヴァルハラでヘイムダルと会っていたなら、ロキもヴァルハラにいる可能性があるのか、という質問(2022年7月)
- 生きていたゼウスがヘラクレスにソーの抹殺を指示したが、ソーは今後もMCUに出るのか、という質問(2024年8月)。ベストアンサーは、エンドロールの最後に「Thor will return」と出るので出ないことはないだろう、というもの
- ゴアと娘は何者で、どこの星の人なのか、という質問(2024年1月)
公開から間もない2022年7月、ある質問者はこう問いかけていました。
ソー ラブアンドサンダーにてジェーンは亡くなりヴァルハラに逝きましたが今後ジェーンの復活はあると思いますか?
出典: ソーラブアンドサンダーにてジェーンは亡くなりヴァルハラに逝きま… – Yahoo!知恵袋の質問(2022年7月)
疑問の中身を見ると、結末そのものより「この先」に向いた質問が目立ちます。ジェーンは戻るのか、ソーとゼウスの因縁はどうなるのか。エンドロール後の2つの場面が、続きを想像させるからでしょう。
5chでの評価——ギャグとゴアのちぐはぐさ、それでも泣けた場面
5ch(旧2ちゃんねる)のなんでも実況G板では、日本公開直後の2022年7月に、ギャグとゴアの重さが噛み合っていないという書き込みが目立ちました。一方で、心を動かされた場面を挙げる書き込みもあります。
- ベールの悪役パートとソーのギャグのパートのバランスが悪い、ゴアがシリアスな人物なので軽いノリが合っていない、という書き込み
- 魅力のある人物はゴアなのに、その描写が少なすぎる、という書き込み
- 冒頭の願いをゴアが我に返って思い出すところは良かった、最後の子どもたちへのスピーチがすごく良かった、という書き込み
- 神に裏切られたゴアと、ゼウスに助けを求めて突っぱねられたソーの対比が良かった、という書き込み
批判も称賛も、同じゴアをめぐって割れています。ゴアの出番が少ないという不満は、裏を返せば、ゴアの場面だけは本気で観られたということでもあります。ゴアとソーを重ねる見方は、本記事で扱った鏡像の読みとも重なります。
| 媒体 | 目立った反応 | 温度感 |
|---|---|---|
| X(旧Twitter) | ジェーンの最期、ゴアの哀れさ | 2026年に観直した人の静かな感動 |
| Yahoo!知恵袋 | ジェーンの復活、ヴァルハラ、ソーの今後 | 結末の先を知りたい質問 |
| 5ch | ギャグとゴアのちぐはぐさ、泣けた場面 | 公開直後の賛否が入り混じる実況 |
参照したページ:ソーラブアンドサンダーにてジェーンは亡くなりヴァルハラに逝きま…/マーベルについて質問です。ソーラブ&サンダーで最後のエンドクレジットの後にジ…/「ソー:ラブ&サンダー」で、生きていたゼウスが息子のヘラクレスにソーの抹…/マーベル映画の「ソーラブ&サンダー」に出てきたゴアとその娘は何者…/5ch なんでも実況G板のスレッド(2022年7月)
ソー:ラブ&サンダーを見返すならどこ?【VOD比較】
見放題で確認できたのは、ディズニープラス(Disney+)です(2026年10月時点で調べた範囲)。Amazon Prime Video、DMM TV、Huluなどではレンタルで観られます。
本作は、結末を知ってから観る2回目のほうが刺さる映画です。船上の決め台詞探し、病床のジェーンとソーの会話、祭壇での子どもたちへのスピーチ。巻き戻して英語の台詞を確かめたくなる場面が多いので、何度でも観直せる見放題と相性がいいと感じます。
| サービス | 料金 | 無料お試し期間 | 配信状況 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|
| Disney+ | 月額1,250円〜 | なし | 見放題 | ★★★★★ |
| Amazon Prime Video | 月額600円〜 | 30日間 | レンタル | ★★★☆☆ |
| DMM TV | 月額550円 | 14日間 | レンタル | ★★★☆☆ |
| Hulu | 月額1,320円 | なし | レンタル | ★★☆☆☆ |
迷ったらディズニープラスです。 本作を見放題で観られるうえ、MCU作品をまとめて配信しているサービスなので、ジェーンとソーの出会いからシリーズを振り返るときにも使いやすいはずです。ジェーンの物語は第1作から続いているので、1作ずつレンタルするより結果的に安く済むことが多いと思います。なお、ディズニープラスには無料体験がありません。
表のAmazon Prime Video・DMM TV・Huluの料金と無料お試し期間は、それぞれの月額プランのものです。本作のレンタル料は、月額とは別にかかります。結末の会話だけを週末に1回確かめたいなら、レンタルでも十分です。
Blu-ray/DVDやグッズを手元に置くなら——中古・フリマで探す
配信の見放題は、契約しているあいだしか観られません。ジェーンの最期や祭壇の戦いを何度でも見返したいなら、Blu-ray/DVDを中古で探すのも手です。マイティ・ソーやゴアのフィギュア、グッズも、フリマなら新品より安く出ていることがあります。
| サービス | 取扱商品 | 特徴・おすすめ |
|---|---|---|
| メルカリ | 中古DVD/Blu-ray・パンフレット・グッズなど | 個人出品で掘り出し物・限定品が見つかる |
| Yahoo!フリマ | 中古DVD/Blu-ray・ホビー・書籍全般 | PayPay連携・匿名配送。紹介コードで特典あり |
| ネットオフ | 中古DVD/Blu-ray・書籍・ゲーム | まとめ売り・宅配買取に強く、状態表記が明確 |
| Amazon | 新品・中古のBlu-ray/DVD・4K UHD・グッズ | 新品も中古も。フィギュア・円盤・全巻セットが揃い、プライムなら翌日配送 |
ソー・シリーズの円盤をまとめてそろえるならネットオフ、マイティ・ソーのフィギュアを1体だけ探すならメルカリ、と使い分けると探しやすくなります。
📥 保存版:『ソー:ラブ&サンダー』の伏線と回収 早見表
見返すときに、何気ない台詞がどこで回収されるかを確かめられます。このままスクショしておくと便利です。
| 伏線になる場面・台詞 | どこで回収されるか | 意味 |
|---|---|---|
| 回想:ソーがムジョルニアに「いつも彼女を守って」と頼む | 砕けたムジョルニアがジェーンのもとで蘇る | ハンマーがジェーンを選んだ理由 |
| 冒頭:ラプーがゴアに「永遠の報いなどない」 | ポストクレジットでジェーンがヴァルハラに迎えられる | 報いはないという神の言葉への反論 |
| シフの場面とヴァルキリーの冗談「戦いで死ななければヴァルハラに行けない」 | 戦いに加わった末のジェーンがヴァルハラへ | ジェーンの結末の前振り |
| 冒頭のコーグの語り「ソーは心を隠した」 | ジェーンの最期の言葉「心を開いたままでいて」 | ソーへの最後の願い |
| クイルの「空っぽよりつらいほうがいい」 | 船上でソーがジェーンに想いを打ち明ける | ソーが心を開き直すきっかけ |
| 船上:ジェーンの決め台詞探し | 祭壇の「Eat my hammer!」と、最期の耳打ち | 観客には明かされない最後の決め台詞 |
| 船上:「ソーはいい父親になる」 | ソーがラブを引き取る | 冗談が思わぬ形で実現する |
| 影の領域:ゴアの「お前の痛みは分かる」 | 「永久」の前でソーが同じ言葉を返す | 二人の鏡像関係 |
| 冒頭:ゴアの「自分ではなく娘のために祈る」 | 最後の願いで娘ラブを蘇らせる | ゴアが本当に求めていたもの |
| 第1作:ムジョルニアの銘「ふさわしき者ならば」 | 祭壇で子どもたちに力を分けるソーの宣言 | 選ばれる側から、分け与える側へ |
| 冒頭のコーグの語り「戦えない人のために戦う」ソー | 結末の語りでソーとラブを同じ言葉で紹介 | 二人で受け継ぐ戦い方 |
よくある質問(FAQ)
まとめ
- ジェーンはゴアに殺されたのではなく、ムジョルニアの力と引き換えに体が癌と戦えなくなり、ソーの腕の中で息を引き取った
- ムジョルニアがジェーンを選んだのは、ソーが昔「彼女を守って」と頼んでいたから。ソーは、ジェーンこそ自分をふさわしい者にしたと語る
- ゴアはネクロソードの呪いで息絶える前に、神々の抹殺ではなく娘ラブの復活を願い、ソーに託した
- 題名「ラブ&サンダー」は、ソーと、引き取ったラブの二人組のこと
- ミッドクレジットでゼウスの生存とヘラクレスが、ポストクレジットでヴァルハラのジェーンが描かれる
笑いの洪水の底にあるのは、心を隠した神がもう一度心を開くまでの物語です。ジェーンの「心を開いたままでいて」を知ってから観直すと、冒頭のコーグの語りから違って聞こえてきます。MCUを最初から追い直すなら、アベンジャーズを見る順番の解説記事も参考にしてください。
参考文献・出典
- ソー:ラブ&サンダー – Wikipedia日本語版
- Thor: Love and Thunder – Wikipedia英語版
- Thor (film) – Wikipedia英語版
- ソー ラブ&サンダー : 作品情報・キャスト・あらすじ – 映画.com
- Thor: Love and Thunder Movie Script – Springfield! Springfield!(最終版の英語字幕)
- ソー:ラブ&サンダー:ナタリー・ポートマン“ジェーン”はなぜヒーローに? 「誰も予測していなかった形」のカムバックのワケ – MANTANWEB, 2022年7月10日
- クリスチャン・ベール&ラッセル・クロウがMCU初参戦 「ソー ラブ&サンダー」を勢いづける実力派に注目 – 映画.com, 2022年7月2日
- クリス・ヘムズワースが反省 「ソー ラブ&サンダー」は「バカバカしすぎた」 – 映画.com, 2023年6月8日
- 『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』2026年12月18日に日米同時公開! – シネマトゥデイ, 2025年7月19日
- 『ソー:ラブ&サンダー』ジェーンの〇〇〇の〇〇〇は何だった? ー ナタリー・ポートマン「教えてあげない」 – ginema-nuts, 2022年7月13日
- Thor: Love and Thunder: Jane’s Last Words Explained – Collider
- 映画「ソー:ラブ&サンダー」の配信はどこ?無料で見る方法 – アニメ!アニメ!, 2026年5月27日
- ソーラブアンドサンダーにてジェーンは亡くなりヴァルハラに逝きま… – Yahoo!知恵袋
- マーベルについて質問です。ソーラブ&サンダーで最後のエンドクレジットの後にジ… – Yahoo!知恵袋
- 「ソー:ラブ&サンダー」で、生きていたゼウスが息子のヘラクレスにソーの抹… – Yahoo!知恵袋
- マーベル映画の「ソーラブ&サンダー」に出てきたゴアとその娘は何者… – Yahoo!知恵袋
- 5ch なんでも実況G板のスレッド(2022年7月) – 5ch
