「獣達のペレグリナティオ」あらすじ|巨獣クロの背で旅するアルとリコを第1〜13話で整理——アルの正体は?フルリンクとは?

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「獣達のペレグリナティオ」あらすじ記事のアイキャッチ画像。夕暮れの川沿いの谷を、背中に木造の家を載せた巨大なオオカミが歩き、遠くに崩れた街と時計塔が見える風景に「獣達のペレグリナティオ」「第1〜13話のあらすじとアルの正体」のコピー

『獣達のペレグリナティオ』は、巨獣禍で人類の九割以上が死んだ数十年後の世界を、記録係の青年アルと巨獣使いの少女リコが、背中に家を載せた巨大なオオカミの巨獣クロに乗って旅する物語です。1〜3話で1つの土地を描くエピソードを重ねながら、第9〜11話ではアル自身の素性が明かされ、物語の縦軸が動き始めました。第12〜13話では、草原で旅人を襲う巨獣使いとの戦いが描かれます。

『キノの旅』の時雨沢恵一が書き下ろした原作と聞いて気になった方に向けて、公開済みの全13話の流れを順番に整理します。

※本記事は2026年11月1日時点(第13話公開時点)の情報で、第13話までのネタバレを含みます。

この記事を書いた人
藤沢あかり——ファンタジー漫画と時雨沢恵一作品を追いかけているエンタメライター。『獣達のペレグリナティオ』は公開済みの第1〜13話を、週刊コロコロコミック公式サイト(第1〜3話・第10話)とpixivコミック(第4〜9話・第11〜13話)で1ページずつ読み、台詞とナレーションを書き起こしたうえで本記事を書いています。

💡この記事でわかること
  • 巨獣禍・巨獣使い・フルリンクなど、物語の基本設定
  • 第1〜13話のあらすじ(村の巨獣/実験都市/湖の村/霧の森の村/アルを追う騎士/草原の巨獣使い)
  • 第9〜11話で明かされたアルの正体と、王家の人々(ネタバレ注意)
  • タイトル「ペレグリナティオ」の意味と、『キノの旅』との違い
  • 今何話まで読めるか・単行本1巻の情報・どこで読めるか
目次

『獣達のペレグリナティオ』はどんな話?——巨獣禍から数十年、家を背負ったオオカミで旅する2人

巨獣禍で人類の九割以上が死んだ数十年後、記録係の青年アルと巨獣使いの少女リコが、巨獣クロの背に乗って各地の人々を訪ねる旅の物語です。

第1話の冒頭で語られるのは、巨大な獣=巨獣が突然現れ、突然消えるまでのわずかな間に、人々が喰われ、押し潰された過去です。ナレーションは「その後の混乱も含めて、人類の九割以上が死んだ。」と続きます。この災厄が、作中で巨獣禍と呼ばれる出来事です。

それから数十年。再び現れた巨獣は、すべて巨獣使いと呼ばれる人間の意志に従う獣になっていました。第1話でアルは、村の男に「今、僕達が目にする巨獣には、一体の例外もなく『巨獣使い』がいるはずです。」と説明しています。

2人が旅をする理由は、公式の紹介では3つ。荒廃した世界をその目で見るため、各地で暮らす人々と交流するため、そして巨獣という存在の謎を知るためです。小学館の単行本1巻の紹介文は、本作をこう締めくくっています。

“獣”と共に、美しくも残酷な世界を旅する本格ファンタジー、開幕。

出典: 獣達のペレグリナティオ 1 – 小学館コミック(単行本1巻の内容紹介)

「美しくも残酷な」は大げさな宣伝文句ではありません。第1話では巨獣の力が村に池をもたらし、第3話では巨獣に一度も襲われなかった町の広場に、大量の骨が積み上げられている。物語のなかに、その両方がきちんと描かれます。

物語の語り手はアルです。第1話は「僕達は巨獣に乗って旅をしている。」というモノローグで始まり、最後は「残酷な世界の秘密を知ることになる、〝旅〟の話。」というナレーションで閉じます。語り口からすると、旅の先を知っているアルが振り返っている物語のようにも読めます。

作品情報——原作・漫画・連載・単行本

項目内容
タイトル獣達のペレグリナティオ(けものたちのペレグリナティオ)
略称けもペレ
原作時雨沢恵一(『キノの旅』の作者)
漫画麻貴早人(『人喰い姫のカヴァリエーレ』の作者)
連載週刊コロコロコミック(小学館のマンガ配信サイト)で2026年7月17日に連載開始
更新金曜(第11話までは毎週。第12・13話は2週間おきで、第14話は2026年11月27日公開予定)
単行本既刊1巻(2026年9月17日発売・裏少年サンデーコミックス)
連載状況連載中(2026年11月1日時点で第13話まで公開)
映像化アニメ化・実写化の発表は見当たらない(2026年11月時点)

時雨沢恵一が初めてマンガのために書き下ろした原作で、第1話のカラー扉にも「『キノの旅』時雨沢恵一 初の書き下ろし漫画原作」と刷られています。なお、コロコロオンラインの連載開始の告知記事は見出しだけ『獣たちのペレグレナティオ』と表記されていますが、正式なタイトルは『獣達のペレグリナティオ』です。

登場人物は?——アル・リコ・クロと、旅先で出会う巨獣使いたち

ここから先は第1〜13話のネタバレを含みます!
アルの素性など物語の核心は、後半の【第9〜11話のネタバレ】【第12〜13話のネタバレ】の見出しにまとめています。まっさらな状態で読みたい方は、先に第1話からどうぞ。

中心はアル・リコ・クロの2人と1頭です。旅先ごとに、その土地の巨獣使いや住人が登場します。

人物初登場どんな人物か
アル第1話旅をしながら各地の話を聞いて記録する青年。物語の語り手。文字が読め、料理も得意。王国で生まれ育った(素性は第9〜11話で判明)
リコ第1話巨獣使いの少女。一人称は「オレ」。2年前からクロに〝潜れる〟。王国の貧しい場所で育った
クロ第1話リコの巨獣。巨大なオオカミで、背中に木造の家が一軒建っている
村長の母(老婆)第1話村で唯一、巨獣禍を知る人。巨獣使いを嫌い、アルたちを追い出そうとする
頭巾の巨獣使い第2話実験都市の図書館で本を燃やす儀式を続ける。ヘラジカの巨獣を連れている。名前は呼ばれない
フゴ第4〜5話湖のほとりの村の巨獣使い。アリクイの巨獣で網を運び、村の漁を支える
ドクター第7話霧の森の村にいる王国出身の医師。〝医師リング〟を付けている
ユリア第7話霧の森の村の巨獣使い(ラバの巨獣)。フルリンクから戻れず眠り続けていた
イルゼ第9話王国の騎士。アルを捜している(第11話で、国の外に出したのはセシリア王女で、名目は修業の旅だと分かる)
ガイ第9話イルゼと組む青年。王国のスラム育ち
枯れ木の下の男第12話草原の枯れ木の根元に、血まみれで倒れていた男。名前は出ない

アルとリコは、性格が見事に正反対です。アルは丁寧で、何でもきちんと説明したがる。第4話でリコに「いっちょ手短に頼むぜ?しっかり説明しすぎるのは、アルの悪いクセだぜ?」と釘を刺されるほどです。

リコは口が悪く、手も早い。そのかわり勘が鋭く、第1話では巨獣を動かしていた人物を、第3話では町の異変を、アルより先に見抜きます。考えるアルと、嗅ぎ取るリコ。この組み合わせが、各エピソードの謎解きを回していきます。

第1話「アルとリコ」のあらすじ——巨獣使いを追い出そうとした老婆の秘密とは?

巨獣使いを嫌ってアルたちを追い出そうとした老婆こそ、村の周りの木を倒していたイノシシの巨獣の巨獣使いでした。第1話は旅の始まりから巨獣どうしの戦い、その種明かしまでを1話で描いた、長めの導入回です。

「どうせ断れないのですから。」——巨獣使いを迎える村の本音

背中に家を載せたクロで谷を進んだ2人は、川を堰き止めた新しい跡のある村にたどり着きます。門を開けた男(のちに村長と分かります)は見学と滞在を許しますが、その理由がほろ苦い。巨獣に太刀打ちできない自分たちは、どんなお願いでも「どうせ断れないのですから。」と言うのです。

村の周囲では3年前から巨獣の姿が確認され、夜になると森の木が倒される音が響いていました。ただ、村に被害は出ていません。倒れた木は、村人がちゃっかり木材として使っていました。

お茶の席でアルは、旅の理由を「この目で世界を見たいと思ったからです。」と語ります。人々がもっと旅をして交流が増える未来を夢見ている、とも。すかさずリコが「人と人が会えば、戦うこともあるってことを忘れるなよ。」と返すあたりに、この2人の関係がよく出ています。

そこへ、村で唯一巨獣禍を知る村長の母が杖をついて駆け込み、「巨獣使いは別だ!」と2人を追い出しにかかります。子どものころ巨獣に人が踏みつぶされるのを見たという老婆に、アルは、自分の祖母も巨獣禍の生き残りで、何度も話を聞いたと伝えました。

夜に現れたイノシシの巨獣と、フルリンク

村の外の森に家を下ろして眠った夜、地響きとともに巨大なイノシシの巨獣が現れます。クロとイノシシがぶつかり合うなか、アルは村長に、双方の巨獣使いがまだ半分しかリンクしていないと説明しました。

イノシシが二本足で立ち上がると、リコもフルリンクに入ります。リコの体は力を失い、アルが抱きとめる。そのあいだ、クロは人型に立ち上がって、人のように組み合う——このページの迫力は、ぜひ本編で見てほしいところです。

アルの説明は短く的確です。「巨獣使いは、巨獣と精神を繋げることができる。」「半分――そして全部。」。勝負の行方についても、アルは「見たところ、リコの方が…、」「戦いに慣れている。」と見立てていました。その言葉どおりクロが押し勝ち、イノシシはリンクを切って森へ去ります(リンクの危険についてのアルの説明は、後半の見出しで整理します)。

夜明け、クロが川に落とした大岩が堰になり、村には池ができていました。目を覚ましたリコは髪がとても長く伸びていて、池でさっそく水浴び。ここで村長は、リコが女の子だったと知ります。それまで村長は、リコを少年だと思っていたのです。

老婆の正体と、リコが巨獣使いになったときの本音

宴の席で、リコと老婆は昼間と同じ悪口をぶつけ合います。ただし今度は、2人とも笑っている。その様子を見たアルは、やはりイノシシを動かしていたのは老婆だったのだと確かめます。どこで分かったのかと聞かれたリコの答えは「フルリンクするんだぜ?動きが似るに決まってるだろ。」でした。

老婆は村のために木を倒していました。でも、あれほど嫌っていた巨獣を使えるようになったとは、誰にも言えなかった。巨獣を恐れる気持ちと、その力を村のために使う気持ちを、1人の老婆に同時に背負わせた回です。

最後に、アルはずっと聞けなかったことをリコに尋ねます。ある日突然巨獣使いになったとき、何を思ったのか。リコの答えは「〝ムカつくヤツは全部踏み殺せるな〟って思った。」、そして「同時に思った。〝この力で、誰かの役に立てるかもな〟って。」でした。

ラストの数ページは、この先の旅の予告です。人型のクロが吠え、血を流したアルが膝をつく場面まで描かれます。正直、第1話でここまで見せるのかと驚きました。

おたくライター

【結論】: 第1話を読むときは、老婆がリコに杖を振り上げる口げんかの場面を覚えておいてください。
なぜなら、私は1回目、宴の場面まで老婆の正体にまったく気づかなかったからです。種明かしの回想コマでは、老婆が杖を振るう動きとイノシシの動きが重ねて描かれていて、そこで初めて前半の口げんかのページまで戻りました。伏線は、最初の口げんかにもう置かれています。

第2〜3話「巨獣禍の後に」——実験都市の図書館で、なぜ本を燃やし続けるのか?

60年前の冬、図書館の本を燃やして命をつないだ一族の先祖を供養するためです。頭巾の巨獣使いは今も年に三回、一人で儀式を続けています。

「なんで全員殺さなかったんだ?」——物語の根っこにある謎

第2話は、雨の日のクロの家から始まります。リコの疑問はシンプルでした。巨獣禍のとき巨獣使いはいなかったのに、巨獣は「なんで全員殺さなかったんだ?」。アルの答えは「分からない……。僕にも……誰にも……。」です。

続くアルのナレーションで、祖母から聞いた話が語られます。この惑星には十億人以上が暮らしていて、生き残ったのは1割未満だと言われていること。巨獣禍は冬の一番寒い時期だったこと。そして、生き残った人々がみんなで一つの国を作ったこと。ナレーションは、その国を「僕が生まれた国を。」と言い添えます。

なぜ巨獣は人類を滅ぼしきらなかったのか。第13話の時点でも答えは出ていない、物語の根っこにある謎です。

図書館の儀式と、頭巾の巨獣使いの申し出

2人が入ったのは、草原にぽつんと建つ城壁の町でした。駅の石碑には『この実験都市が、未来の人類にとって当たり前の生活になる事を願いながら、私達はこの町に生きる。』と刻まれています。広場には、頭蓋骨が山のように積み上げられていました。

線路の上を巨大なヘラジカの巨獣が歩いてきて、頭巾で顔を覆った巨獣使いが降ります。邪魔さえしなければついてきていいと言われて入った図書館で、アルは鍵のかかった部屋の無事な本に夢中になります。ところが頭巾の人物は、本を1冊持ち出して骨の山の前で燃やしてしまう。止めに入ろうとしたアルを、邪魔をしない約束だとリコが引き止めます。

理由はこうでした。60年前の冬、燃料の供給が止まり、一族の先祖はこの場所で全員死にそうになった。家具を燃やしても足りず、最後は図書館の本に火をつけるしかなかった——。本の価値について、頭巾の人物は「それは分かっていた。だが、人の命を守る方を優先した。」と言い、それでも多くが死んだと語ります。

一族は今、遠く離れた場所で自然と共に暮らしています。五年前に巨獣を使えるようになった頭巾の人物だけが、年に三回、先祖を供養するために本を燃やす儀式を続けていました。

アルは、自分が王国で生まれ育ったこと、王国が失われた技術や知識を取り戻し、困っている人を受け入れていることを話し、一族の移住を勧めます。答えは、無理だの一言。それどころか逆に、自分と結婚して一族に来る気はあるかと持ちかけられ、アルは断ります(隣で「オレはー?」と口をはさむリコが、この回の数少ない笑いどころです)。

去り際にアルは、いつか本が必要なくなったら残りを持っていってもいいかと願い出ます。返事は「好きにしろ。」「みんな死んだ後のことなど、どうでもいいことだからな。」でした。

巨獣に襲われなかった町が示すもの

町を出たあと、リコが言います。この町、綺麗すぎないか——。アルはようやく気づきました。「この町は……、まったく巨獣に襲われていなかったんだ……。」

多くの人が生き残ったのに、供給が途絶え、燃料も食料もすぐに足りなくなった。追い詰められた人間が何をしたのか。リコは、その答えは広場に積んであっただろ、とだけ言います。作中はそれ以上を語りません。

巨獣禍の死者は、巨獣に踏み潰された人だけではなかった。冬の寒さと止まった供給が、巨獣の来なかった町でも人の命を奪っていた——。第2話でリコが投げた、なぜ巨獣は全員を殺さなかったのかという問いに、少し違う角度から影が差す2話です。

おたくライター

【結論】: 第2話は、駅の石碑の文章と広場の骨の山を、背景として読み流さないでください。
なぜなら、私は1回目、石碑は町の由来の説明、骨の山は荒廃の演出だと思って素通りしたからです。第3話の終わりでアルが「この町は……、まったく巨獣に襲われていなかったんだ……。」と気づいた瞬間に2つの意味がつながり、第2話の頭から読み直すことになりました。

第4〜6話「ずっとは潜れず」——湖の村のフゴとの巨獣勝負はどうなった?

勝ったのはフゴのアリクイの巨獣です。自分の丸太を抱え込んで守り切り、リコはずるさで負けたと悔しがります。

魚料理の歓迎から一転、巨獣どうしの勝負へ

第4話は、変わった始まり方をします。背中に丸太を結わえたクロと巨大なアリクイの巨獣が湖から上がり、村人が「やっちまえフゴ!!」と声援を送る場面を先に見せ、そこから「数時間前、朝――」と時間を巻き戻すのです。

大きな湖を見たリコは、あれが海かと聞きます。アルは、あれは湖の端で、惑星の表面のおよそ八割が海だと教えました。じゃあなぜ人間は海に住まないのかと聞かれ、アルは「…人間は、ずっと潜っていられるわけじゃないからね。」と答えます。この一言は、あとで効いてきます。

廃墟を再利用した湖のほとりの村は漁業で暮らしていて、村人は巨獣を怖がらず、2人を魚料理の宴に招きます。満腹で眠ったあと、鐘が鳴り、湖の中から巨大なアリクイの巨獣が現れました。

第5話で、アリクイの巨獣は網で魚を運び上げます。アルは「巨獣が、人間の役に立っている…。」とつぶやき、祖母にこの景色を見せたかったと思う。巨獣使いは、村の大柄な男フゴでした。

ところが村人たちは、アルたちが巨獣の力で脅して食事をせしめた、と言い出します(実際は村人のほうから宴に招いていました)。フゴは巨獣どうしの勝負を挑み、リコは受けて立ちます。勝てば魚と干し魚、負ければアルが謝ってしばらく食事係として働く——なぜかアルが賭けられています。

ルールは、相手の丸太を先に奪った方が勝ち、逃げて湖から上がってきたら負け。人型のクロは、水中に潜ったアリクイに引きずり込まれ、第5話は水面に浮かんだクロの顔で終わります。

決着と、〝潜った〟あとのフゴの姿

第6話、苦戦するリコの頭に浮かぶのは、幼いころの記憶です。小さいのだから正面からぶつかっては勝てないと言われた幼いリコに、そばかすの少年は「卑怯で汚え手を使うんだよ!」と教えていました(この少年の名前は出てきません)。

クロはアリクイの背の丸太をつかみます。ところがアリクイは自分の丸太を抱え込んで手放さず、逆にクロを湖へ投げ込む。勝負はフゴの勝ちです。目を覚ましたリコは「負けた!ずるさで負けた!卑怯さで負けた!」と悔しがります。

そこへ現れたのは、筋肉質のやせた青年でした。〝潜った〟あとのフゴです。フゴは太った体が〝潜る〟とやせ、リコは髪が伸びる。フゴのほうも「おっと!君は、巨獣の心に〝潜る〟と、髪が伸びるのか!」と驚いていました。

勝負は年に1回あるかないか、巨獣使いが来たときだけのお祭りだったようです。フゴは、湖の北の畔を巨獣で三日間泳いだ先に、巨獣使いの多い大きな町があると教えてくれます。干し魚を渡して、服や道具をもらってくる町だそうです。

「人間は、ずっと潜っていられるわけじゃないからね。」——フゴの忠告

フゴはリコに、いつからクロに潜れるのかと尋ねます。答えは2年前から。フゴはさらに、その前に死にかけたろうと聞き、リコは何度もだと答えました。王国のいちばん貧しい場所で育ち、寒さで死にかけたことは数え切れないといいます。

潜れるようになることと、死にかけた経験がどう関係するのか。第13話の時点でも説明されていません。ただ、フゴがわざわざそこを聞いたことは覚えておきたいところです。

話の最後に、フゴは、長く潜り続けて普段と違う感覚が来たら絶対に無理はするなと忠告します。締めの言葉は「人間は、ずっと潜っていられるわけじゃないからね。」。第4話でアルが海について言ったのと、同じ言葉でした。

おたくライター

【結論】: 第4話から第6話は、間を空けずに続けて読むのがおすすめです。
なぜなら、私は第4話でアルがリコに言う「…人間は、ずっと潜っていられるわけじゃないからね。」を、海についての雑談だと思って読み流していたからです。第6話の最後にフゴが同じ言葉で忠告したとき、題名の「ずっとは潜れず」が二重の意味だったと気づき、第4話を開き直しました。

第7〜9話「伝わらざるもの」——霧の森の村は山賊から守れたのか?眠り続けた巨獣使いユリア

守れました。アルが山賊の武器を大砲ではなく花火だと見抜き、クロが山賊を蹴散らします。眠り続けていた巨獣使いのユリアも目を覚ましますが、記憶が飛んでいました。

木の上の村のドクターと、村人たちのやさしい嘘

第7話は、雨の日の文字の授業から始まります。アルは砂の板を使ってリコに「文字は、たった三十個しかないんだ。単語は、それらの文字の組み合わせ。」と教え、手紙を書けば遠く離れた人に気持ちを伝えられると話します。リコが最初に書きたがったのは、腹減ったの一言でした。

霧の深い森では、巨木の上に家々が建ち、吊り橋でつながっていました。ヘルメット姿の村人は、2人を村に入れれば無関係な旅人を問題に巻き込むと悩みます。気づかなかったことにして立ち去ってもいい、と言われたアルの返事は「それはできません。なぜなら――もう気づいてしまったからです。」でした。

村で会ったのは、白衣に眼鏡の男、ドクターです。指にはめた大きな指輪を見て、アルが言い当てます。「あの大きな指輪は、〝医師リング〟っていって、王国の医師の証なんだ。」

村人は、ドクターと患者を巨獣と家で王国か遠くの安全な場所へ運んでほしいと頼み、居座られて邪魔だったとまで言います。アルはそれを、2人を助けたいがための嘘だと見抜きました。

村は、二十人ほどの山賊に狙われていたのです。前の冬の終わり、山賊は生木を燃やした煙で攻め、村の巨獣使いの女性がラバの巨獣で戦った。ドクターは破裂音から、山賊が大砲を撃ったのだろうと考えていました。ほとんどフルリンクをしたことがなかったその女性について、アルが続きを言います。「そして、戻ってこられなくなった……。」。彼女は今も眠り続けていて、山賊は秋の晴れた日にまた来ると言い残していました。

読まれない看板と、花火の推理

第8話、覆面の山賊たちは、森に吊るされた看板の前を通りかかります。書かれていたのは『この村を襲おうとしている皆さんへ。強い巨獣使いが村を守るために雇われました。』という警告。でも山賊は文字が読めず、そのまま進んでしまいます。

作戦会議の回想で、アルはドクターの推測を否定していました。「王国の騎士の訓練で、本物の大砲を見ています。」。本物は重い鉄の弾を撃ち出すための頑丈な砲身が要り、反動も強烈で、人が手に持って撃てるものではない。アルの読みは「〝花火〟だと思います。」でした。

音と火花だけでも巨獣使いを怖がらせることはできる、とドクターも納得し、アルは対処はできると言い切りました。その読みどおり、フルリンク中のクロは花火に動じず、筒を奪って叩き壊し、山賊を蹴散らします。同じころ、眠っている女性の指がかすかに動きました。

作戦の前、リコは「殺っちまって、いいんだな?」と確かめ、アルは黙って目を伏せていました。山賊の生死は描かれません。それでも、このコマの沈黙は重いです。

目覚めたユリアと、ドクターの秘密

第9話、村は山賊に食料を渡し、馬と、二度と村に近づかないという約束を求めます。そして、眠っていた女性ユリアが目を覚ましました。ヘルメットの村人に「あ、おはよー お兄さん。」と笑いかける一方で、ドクターには初対面のように接します。

宴の夜、アルはドクターに切り出します。ドクターの奥さんはユリアさんですよね、と。長くリンクし続けて何の影響もないとは考えにくく、記憶が飛んでいるなら説明がつく。医師リングの下には、ユリアと同じ指輪が隠されていました。ドクターは認め、ユリアは最初に会ったときも同じことを言ってくれた、と打ち明けます。

アルは、ユリアと、できれば村の人たちとも一緒に王国へ戻ることを勧めます。問題は、ドクターが王国から脱走した医師だということ。するとアルは「一筆、書きます!」と言い出し、「女王陛下に、嘆願の手紙を書きます!優れた人材を連れてきたあなたの功績が認められ、厳罰に処されないように!」と続けます。

そう言い切れる理由を問われ、アルは襟元に手をやって何かを見せます。中身は絵からは分かりません。ただ、それを見たドクターはマグを落とし、「何をやっているんだ!? 君は!」と叫びました。

題名の「伝わらざるもの」は、この3話のあちこちに重なって見えます。読まれない看板、夫を覚えていないユリア、そしてアルがこれから書く手紙。第7話の冒頭の文字の授業が、そのすべての入口になっていると私は読みました。

【第9〜11話のネタバレ】アルの正体は?——女王の一人息子アルファという素性と、イルゼが追う理由

ここから先は第9〜11話の核心ネタバレです!
アルの素性と王家の人々に触れます。第9〜11話をまだ読んでいない方はご注意ください。

アルの正式な名前はアルファ。女王陛下の一人息子で、家出をして王国を出た身だと、第9話で騎士イルゼが明かします。女王の名がアナスタシアだと分かるのは第10話です。

王国の騎士イルゼと、相棒のガイ

第9話の後半、場面は村を去った山賊たちに移ります。何年かけてでも村に復讐すると誓う山賊の頭らが、草原で鎧の騎士とすれ違い、襲おうとして返り討ちに遭う。逃げる山賊の前には巨大なトラが立ちはだかりました。

騎士は波打つ髪の女性、イルゼです。王国の命で、ある男を捜していると言い、見せた似顔絵はアルでした。相棒の青年ガイに問われて、イルゼは明かします。「彼の名は〝アル〟。――私の許嫁だ。一応な。」

それで追いかけているのかと聞くガイに、イルゼは「違うよ。彼が家出をして、王国から出たからだ。」。そして、アルの正式な名前はアルファで、「女王陛下の一人息子だ。」と続けました。なお、トラがイルゼとガイのどちらの巨獣なのかは、第13話の時点でも台詞ではっきりとは語られていません。

王家の人々——アナスタシア女王、故アルビナ女王、4人の姉

第10話で、イルゼは焚き火を囲みながら王家のことをガイに話します。「では覚えておけ。アナスタシア女王陛下だ。」「その御母様が、初代女王である、故アルビナ女王陛下だ。」。アルビナ女王は、巨獣禍の後に生き残りを助けて王国を作った人物です。

では、アルが次の王になるのか。イルゼの答えは違う、でした。アルには姉が4人いる。長子ソフィア、次女ナタリア、三女パトリシア、四女セシリア。「アルは長男だが末子なんだ。」

系図の上では、アルビナ女王はアルの祖母にあたります。ただし、第1話と第2話でアルが語った、巨獣禍の生き残りの祖母がアルビナ女王本人なのかは、第13話の時点でも作中で語られていません。第11話でアルは「お祖母ちゃんがよく言っていた。」と祖母の言葉を口にしますが、それが誰なのかは明かされません。

「だが――自由などなかった。」——アルの生い立ちと、8年前の宣言

場面はクロの家にも切り替わり、砂の板で文字の練習をするリコが、お姉さんたちとケンカとかしたかとアルに聞いています。アルの答えは、姉様達とのんびり話をしたことはない、でした。毎日、その分野でいちばん優れた先生たちから多くのことを学ばせてもらっていたから、と。

イルゼはガイに、アルの暮らしを説明します。衣食住は完璧で、常に最高の医療を受けられた。「だが――自由などなかった。」。スラムで育ったガイには、腹さえ膨らめば仲間と遊ぶ時間がありました。イルゼは、それなら自由はあったんだな、と返します。

イルゼは四女セシリア王女と同い年で、直属の近衛騎士になる予定だったといいます。十歳のころから話す機会があり、8年前の回想では、アルが勉強の話しかしないことをセシリアが心配していました。セシリアの言葉は「将来王様になるわけないのに、なんであんなに勉強しなくちゃいけないの?」。

弟が一生独身では困ると嘆いたセシリアは、素晴らしい女性をもう見つけたと言い、第10話はこの宣言で終わります。「私はあなたとアルを、絶対に夫婦にしてみせるから!」。第9話の、一応の許嫁という言い方とどうつながるのかは、次の第11話で語られます。

第11話「アルとイルゼ②」——なぜイルゼ1人がアルを捜しているのか

第11話で、イルゼは許嫁の話の続きをガイに語ります。初めてアルと話したのは5年前の建国祭のお茶会で、アルは13歳、イルゼは15歳でした。そのきっかけを、イルゼは「殿下が強引に引っ張ってきたからな。」と振り返ります。

セシリアは会うたびに、計画を諦めていないと話していたそうです。18歳になれば成人として結婚もできるので、そのときに弟を説得してみせる、と。ところがアルは、誕生日の直前に王国を出奔します。イルゼの言葉では「偶然、巨獣使いに出会ってしまったからな。」。

では、なぜ捜しに来たのがイルゼ1人なのか。王国の騎士団には巨獣使いもいるはずだと首をかしげるガイに、イルゼは、女王陛下はアルがいなくなっても困らないのだと認めます。

イルゼの説明では、王室は今も継承のルールを確定していません。慣習どおりなら、長女ソフィアが次の女王になる見込みです。アルがいなければ、揉めることもなくなる。故アルビナ女王は本当は男子に王位を譲りたかったそうですが、その理由は分かっていないといいます。

アルを連れ戻したいと思っているのは、セシリアだけでした。だからイルゼだけが国の外に出され、名目上は〝騎士としての見聞を深めるための修業の旅〟になっています。第9話で山賊に「王国の命で」と話していたイルゼの旅は、こうした事情で始まったものでした。

ガイとイルゼは、アルが詰め込みの教育に嫌気がさしたのかもしれないと話します。けれど同じ回のアル本人は、リコに「本当は、もっと勉強がしたかったよ!」と言っていました。

旅に満足したらどうするのかとリコに聞かれ、アルは王国に戻って家族みんなに叱られる、と答えます。その先は「勉強したこと、見聞きしたことを元に、人の役に立つことをしたい。」。リコの返事は「じゃ、それまでは付き合ってやるぜ。」でした。

一方のガイは、リコに会ったら「巨獣バトルするんだよ!ガチンコでな!」と意気込んでいます。会話はイルゼ自身の生い立ちにも及びました。

騎士の家の子は3歳ごろから剣技や馬術を習い、8歳ごろから罪人の処刑に立ち会い、10歳ごろからはその務めを任される。そう語るイルゼに、ガイは「そいつは、〝いい生活〟じゃねーぞ。」と返して、第11話は終わります。第10話でアルの暮らしを指して使われた〝いい生活〟という言葉が、イルゼにも向けられた形です。

それまでの話に置かれていた、アルの素性の手がかり

話アルの言動
第3話王国で生まれ育ったと話し、王国の取り組みを熱心に説明して、一族に移住を勧める
第7話ドクターの大きな指輪を見て、王国の医師の証〝医師リング〟だと言い当てる
第8話王国の騎士の訓練で、本物の大砲を見たと話す
第9話女王陛下に嘆願の手紙を書くと申し出て、襟元から何かを見せる(中身は絵から判別できない)

どれも、王国の中枢に近い場所で育った人物なら自然に出てくる知識と振る舞いだと思います。1回目は博識な青年という印象で読んでいたのに、第9話を読んだあとだと、同じ台詞がまるで違って見えてきました。

第13話の時点で残っている謎

  • アルが王国を出た本当の理由(第11話でガイとイルゼは教育が嫌になったのかもと話すが、アル本人は「本当は、もっと勉強がしたかったよ!」と言っている)
  • 巨獣禍のとき、巨獣はなぜ人類を全員殺さなかったのか(第2話のリコの問い)
  • 巨獣はどこから来て、巨獣使いはなぜ生まれるのか
  • 白いトラの巨獣は、イルゼとガイのどちらの巨獣なのか
  • 王室はなぜ継承のルールを確定していないのか。故アルビナ女王はなぜ男子に王位を譲りたかったのか(第11話)
  • 第13話でアルが託された石には、どんな意味があるのか
  • 第1話の最後に描かれた、血を流して膝をつくアルの場面は、いつの出来事なのか

第1話の終盤のページには、ヘラジカ・ラッコ・ワシ・白いトラなどの巨大な動物と、鎧の騎士が描かれていました。このうちヘラジカの巨獣は第2〜3話に登場し、第10話ではイルゼとガイのそばに巨大な白いトラの巨獣がいます。あのページは、旅の行き先の予告として読み返すと楽しい1枚です。

おたくライター

【結論】: 第9〜10話まで読んだら、第8話の作戦会議の場面をもう一度開いてみてください。
なぜなら、私は1回目、アルの「王国の騎士の訓練で、本物の大砲を見ています。」を、花火の推理の前置きとしか読んでいなかったからです。第9話でイルゼがアルの素性を明かしたあとに読み返すと、同じ一言が、アルがどんな場所で育ったのかを示す手がかりに見えてきました。

「獣達のペレグリナティオ」第10話時点の相関図。正式な名前がアルファのアルを中心に、母のアナスタシア女王と故アルビナ女王、4人の姉、旅の相棒リコと巨獣クロ、許嫁で王国の命でアルを捜す騎士イルゼと相棒のガイの関係を図示

【第12〜13話のネタバレ】「イシをつぐもの」——草原で旅人を襲っていたのは誰?アルが託された石とは

草原で旅人を襲っていたのは、枯れ木の根元に倒れていた男でした。チーターの巨獣を操る巨獣使いで、男は最期にアルへ1つの石を託します。

ここから先は第12〜13話の核心ネタバレです!
旅人を襲っていた人物と、エピソードの結末に触れます。

旅人だけが死ぬ草原と、村からの依頼

第12話の舞台は、草原の中の村です。ここ半年ほど、村と行き来する途中で死ぬ人が増えたと村人は言います。死体の金目の物は奪われておらず、死んだのは1人か2人で旅していた人だけ。数人のグループや隊商は無事でした。

村人は巨獣使いの仕業だと考えていて、こう頼みます。「旅人の死の原因を突き止め、本当に巨獣だったら巨獣使いを『排除』してほしい。」。報酬は、持てるだけの食料です。

隣の村までは、徒歩なら5日、馬なら4日かかります。クロなら1日で走れるので、アルとリコは手紙を持って、村と隣村を毎日往復しながら様子を見ることになりました。

枯れ木の下の「罠の餌」と、猛スピードのチーター

往復を重ねるうちに、リコが枯れ木の根元に倒れている血まみれの男を見つけます。助けに降りようとするアルを、リコは止めました。「アレは『罠の餌』だ。」

近くに巨獣の気配はないのに、罠が仕掛けられている。アルはそこから、猛烈な速度で迫れる巨獣だと推理します。現れたのは巨大なチーターでした。リコは「待ちくたびれたぜ!!」と迎え撃ち、クロとチーターの戦いが始まります。

第13話で2人が確かめ合う作戦は、リコがフルリンクで巨獣を抑え、そのすきにアルが巨獣使いを縛るというものです。リコは、相手がハーフリンクに戻ったら容赦するな、何人も殺している相手なのだから「遠慮なく刺しちまって、いいんだからな。」と念を押します。クロとチーターは人のように立ち上がって組み合い、そのさなか、雷が枯れ木に落ちました。

「君が継いでくれ。」——巨獣使いの最期と、使い手を亡くした巨獣

話はここで、第12話の冒頭の場面に追いつきます。枯れ木の下の男は「最後に、手を、握っていてくれないか……?」とアルに頼み、アルは「お断りします。」と答えました。男の手には、ナイフが握られていました。

旅人を襲っていたのはあなたかと聞くアルに、男は笑って認めます。アルの読みは、力を誇示したくて襲い、それを誰にも言わずに死ぬのは悔しいはずだ、というものでした。男は自分と組まないかと持ちかけ、アルは断ります。

それでもアルが最期を見届けるのは、巨獣使いが死んだら巨獣がどうなるかを知りたいからでした。同時に「でも、目の前で人が死ぬのを見るのは、本当は、嫌です。」とも口にしています。

男は首にかけていた涙形の石をアルに放り、「君が継いでくれ。」と言い残します。凄まじい価値のあるもので、その意味を知る人に会えたら死ぬほど驚くがいい、と。アルが意味を尋ねかけたところで、男の手が落ちました。

すると、そばにいたチーターの巨獣は、細かな粒になって消えていきます。リコでさえ「初めて知ったぜ。」と言う光景でした。埋葬しようとした2人は、男の顔がずっと年老いた顔に変わっていることに気づきます。作中では「ああ、フルリンクの効果で若返るのか。」という台詞も出てきます。

アルは、男が巨獣禍を知る世代だったのかもしれないと考え、「話をしたかった。」とつぶやきます。アルは、託された石をペンダントにつけておくことにしました。石の意味は、第13話の時点ではまだ明かされていません。

おたくライター

【結論】: 第12〜13話は、サブタイトルの「イシをつぐもの」をカタカナのまま読むのがおすすめです。
なぜなら、私は1回目、託された石のことだと思って読み終えたからです。「君が継いでくれ。」の場面を読み返すと、カタカナの「イシ」は、受け継がれる意志とも読めるように感じました。

巨獣使いのリンクとは?——フルリンクの代償と、人間に戻ってこられなくなる危険

リンクは、巨獣使いが巨獣と精神をつなぐことです。半分と全部(フルリンク)の段階があり、つなぎ続けると人間に戻ってこられなくなると言われています。

第13話までに描かれたことを、話数つきで並べるとこうなります。

分かっていること内容出てくる話
半分のリンクリコは立ってアルと話しながら、クロを戦わせている第1話
フルリンク巨獣が人型に立ち上がり、人のように動く。そのあいだ巨獣使い本人はまったく動けない第1話
動きが似るフルリンクした巨獣の動きは、巨獣使い本人の動きに似る第1話
潜るリンクすることを、巨獣の心に〝潜る〟とも言う第6話
体の変化リコは髪がとても長く伸びる。フゴは太った体がやせる第1話・第6話
痛みと恐怖大砲のような攻撃で巨獣は死ななくても、リンクしている人間は痛みと死の恐怖を感じる(ドクターの推測)第7話
限界ダメージを受けすぎると人間の精神がもたず、リンクを切らずにいると戻ってこられなくなると言われている第1話
戻れなくなった例ユリアはフルリンクから戻れずに眠り続け、目覚めたあとは記憶が飛んでいた第7〜9話
ハーフリンクリコが「ハーフリンク」という言葉を使う(第1話の半分のリンクのことと読める)第12〜13話
使い手が死ぬと巨獣使いが死ぬと、その巨獣は細かな粒になって消えた第13話
見た目の変化死んだ巨獣使いの顔が、ずっと年老いた顔に変わっていた。「ああ、フルリンクの効果で若返るのか。」という台詞が出る第13話

並べて見えてくる、フルリンクの重さ

フルリンクは強さと引き換えに、巨獣使いの体を無防備にします。第1話でアルがリコの体を抱きとめていたのは、そのためです。本人が動けなくなる以上、信頼できる誰かがそばにいて初めて使える技なのかもしれません。

リンクの跡は体にも残ります。第1話では、アルがリコの伸びた髪を切ってやる場面があり、リコの「うまくなったな。最初はヒドかったのにな。」に、アルは「まあ、何度もやっていればね。」と返す。一方のフゴは、リコの髪が伸びることを知りませんでした。巨獣使いどうしでも、リンクのすべてが分かっているわけではない世界なのだと思います。

そして第1話でアルが語った、戻ってこられなくなるという話は、あの時点では「――と言われています。」という伝聞でした。第7〜9話のユリアは、それを物語の中で現実にした人物です。第6話のフゴの忠告が、あとから重く響いてきます。第1話のラストに描かれた、人型のクロと傷ついたアルの場面を思い出すと、この先のリコのフルリンクが少し怖くなります。第13話では、使い手を亡くした巨獣が細かな粒になって消える場面も描かれ、リコ自身も「初めて知ったぜ。」と口にしていました。

「ペレグリナティオ」の意味は?『キノの旅』と似ているところ・違うところ

ペレグリナティオは、ラテン語で旅・遍歴・巡礼を表す言葉です。作中でも、第1話の最後のナレーションで「旅」に「ペレグリナティオ」のルビが振られています。

ラテン語の peregrinatio には、旅、外国への旅、よその土地での滞在、巡礼、放浪といった意味があります。第1話のカラー扉では、ロゴの下に「PEREGRINATIO BESTIARUM」と欧文が添えられていました。bestiarum は、獣を意味する bestia が獣たちの、という意味になる形(複数属格)です。欧文を直訳すると獣たちの旅になり、日本語のタイトルとそのまま重なります。

原作の時雨沢恵一は2026年8月28日、週刊コロコロコミック公式Xの投稿を引用する形で、自身のXに本作をこう書いています(投稿にはハッシュタグの #けもペレ も添えられています)。

”大きな獣の背中に一軒家を載せて旅をする系”作品です。このジャンルの一翼を担えると光栄です。

出典: 時雨沢恵一 公式X – 2026年8月28日

『キノの旅』は、旅人キノが言葉を話すモトラド(二輪車)のエルメスと様々な国を巡る、短編・1話完結型のファンタジーです。毎回、独特の制度や価値観を持つ国と人々に出会います。見比べると、似ているところと違うところがはっきりしています。

比べる点『キノの旅』『獣達のペレグリナティオ』
旅の相棒言葉を話すモトラドのエルメス巨獣使いのリコと、背中に家を載せた巨獣クロ
1つの話の長さ短編・1話完結型1つの土地を1〜3話で描く
旅先で出会うもの独特の制度や価値観を持つ国と人々巨獣禍のあとを生きる村や町と、その土地の巨獣使い
媒体小説(電撃文庫)漫画(週刊コロコロコミック連載)

似ているのは、旅先の共同体が抱えるルールや事情に、旅人が外から触れていく構成です。第3話の本を燃やす儀式や、第5〜6話の巨獣勝負の慣習がまさにそれでした。

本作ならではなのは、各エピソードの外側で1本の筋が動いていることです。巨獣禍の謎、アルの素性、アルを追う騎士イルゼ。第9話を境に、旅する側が追われる側にもなりました。なお、2026年9月23日時点で『キノの旅』の世界とつながっているという公式の説明はありません。

『キノの旅』らしさはX(旧Twitter)でどう受け止められた?——1巻発売後の感想と第10話への疑問

単行本1巻が出た9月中旬以降のX(旧Twitter)では、時雨沢恵一らしさや旅の構成を喜ぶ感想が目立ちました。一方で、期待ほど刺さらなかったという声や、巨獣のバトルをもっと読みたいという声もあります。

なお、Yahoo!知恵袋と5ch(旧2ちゃんねる)では、2026年9月23日時点で本作を扱った質問やスレッドは見つかりませんでした。感想は今のところXに集まっています。

Xでの感想——旅の構成と時雨沢恵一らしさを喜ぶ声、期待とのずれを語る声

1巻を読んだ人の感想では、『キノの旅』を思わせる要素や、時雨沢恵一の作風そのものを挙げる声が多く見られました。

  • 第1・2話をWebで読んだうえで1巻を読み、『キノの旅』を思わせる要素の多さと、獣の描写の迫力を挙げる声
  • 巨獣で滅びかけた世界を旅するロードムービーのような話で、少しずつ明かされる世界と、アルとリコの人物像に第1話から引き込まれたという声
  • 原作が時雨沢恵一なので期待していたが、あまり刺さらなかったという声
  • 第3話を読み、巨大な獣が出るなら大怪獣バトルを読みたいという指摘

評価が分かれるのは、本作の重心が巨獣のバトルよりも、訪れた土地の人々の事情に置かれているからだと思います。第2〜3話は、ヘラジカの巨獣が登場するのに戦いは一度も起きず、図書館と骨の山の話で終わります。巨獣の戦いが大きく描かれるのは、第1話の巨獣どうしの戦い、第5〜6話の勝負、第8話の山賊戦といった回です。

逆に、村や町の暮らしと、そこに暮らす人の選択を読むのが好きな人には、この静けさこそが時雨沢作品の味として届いているようです。1巻のあとがきに触れた投稿もあり、原作者のあとがきがWebにあることに驚く声や、この作者はあとがきまで読むべきだという声が見られました。

第10話の公開後は、アルがなぜ家出をしたのかを考える投稿や、勉強の話しかしないのは本当に性格なのかと首をかしげる声も出ています。第11話では、アルが誕生日の直前に王国を出たことまで語られました。イルゼが語るのは「偶然、巨獣使いに出会ってしまったからな。」という経緯までで、アル本人がなぜそのときに家を出たのかは、第13話の時点でもまだ伏せられたままです。

『獣達のペレグリナティオ』はどこで読める?——公式サイトの無料話と電子書籍ストア比較

Web連載は週刊コロコロコミック公式サイト(金曜更新)で、電子書籍は単話版と単行本1巻がブックライブなど各ストアで読めます。

本作は1〜3話で1つの土地が区切れる作りなので、1エピソード単位で読み進めても話が途中で切れにくいのが特徴です。たとえば湖の村の話は、第5話が勝負の途中で終わり、第6話で決着とフゴの忠告まで描かれます。気になる土地の話を、区切りのいいところまでまとめて読むのに向いています。

公式サイトでは、2026年11月1日時点で作品ページに「更新無料話:第13話」と表示されています。筆者が9月23日に読んだ時点では、第1〜3話も無料で公開されていました。pixivコミックでも配信されています。

サービス特徴・おすすめポイント
KindleAmazonポイント還元
ブッコミ月額コースでお得
BOOK☆WALKER初回購入50%還元
ブックライブ初回70%OFFクーポン
漫画全巻ドットコム全巻まとめ買い割引

迷ったら、ブックライブで読むのがおすすめです。 単話版と単行本1巻の両方がそろっていて、単話の番号がそのまま連載の話数(単話9=第9話)になっているので、どこまで読んだかで迷いません。まず単話版の第1話で絵柄と語り口を確かめ、合いそうなら単行本1巻にまとめて進む、という読み方ができます。

ただし、最新話を読むなら公式サイトかpixivコミックが確実です。第11〜13話は、どちらでも同じ日に公開されていました。なお、ブックライブの単話版は、2026年9月23日時点では第9話までで、公式サイトより1話遅れていました。

今何話まで?単行本は何巻まで?

2026年11月1日時点で連載中です。週刊コロコロコミック公式サイトでは第13話「イシをつぐもの②」(10月23日公開)まで読めて、次の第14話は11月27日に公開予定です。更新は第11話まで毎週でしたが、第12話と第13話は2週間おきでした。

単行本は既刊1巻(2026年11月1日時点)で、2026年9月17日に発売されました。裏少年サンデーコミックス(小学館)のB6判・208ページ、定価は792円(税込)で、電子版も同じ日に配信されています。小学館によると、コミックスおまけとして描き下ろし4コマ漫画なども収録されています。1巻に何話までが入っているかは、公式の紹介には書かれていません。

1巻の発売日、漫画の麻貴早人は自身のXでこう告知していました。

獣達のペレグリナティオ第1巻発売🎊 でっかい動物がたくさん出ます。

出典: 麻貴早人 公式X – 2026年9月17日

アニメ化・実写化の発表は、2026年11月時点では見当たりません。

紙の単行本1巻を中古・フリマで探すなら

紙の単行本1巻を手元に置きたい人は、書店や通販のほか、中古・フリマで探す手もあります。発売から日が浅い作品なので、まずは新品を探し、見つからないときに当たってみるのが順当です。

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📥 保存版:第1〜13話 あらすじ早見表

このままスクショしておくと、続きを読むときに流れを見失いません。

話(公開日)サブタイトル舞台出てくる巨獣(巨獣使い)主な出来事
第1話(7/17)アルとリコ川を堰き止めた跡のある村クロ(リコ)/イノシシ(村長の母)老婆の正体が判明。クロが川に堰を作り、池ができる
第2話(7/24)巨獣禍の後に①草原の実験都市ヘラジカ(頭巾の人物)なぜ巨獣は全員を殺さなかったのかという問い。骨の山と図書館
第3話(7/31)巨獣禍の後に②実験都市の図書館ヘラジカ(頭巾の人物)本を燃やす儀式の理由。町は巨獣に襲われていなかった
第4話(8/7)ずっとは潜れず①大きな湖のほとりの村クロ(リコ)/アリクイ(巨獣使いは第5話で判明)魚料理の歓迎。湖からアリクイの巨獣が現れる
第5話(8/14)ずっとは潜れず②湖のほとりの村アリクイ(フゴ)巨獣どうしの勝負が始まる
第6話(8/21)ずっとは潜れず③湖のほとりの村アリクイ(フゴ)フゴの勝ち。長く潜り続けるなという忠告
第7話(8/28)伝わらざるもの①霧の森の木の上の村クロ(リコ)。ラバ(ユリア)は話の中で語られるドクターと医師リング。山賊に狙われる村
第8話(9/4)伝わらざるもの②霧の森の村クロ(リコ)花火の推理。クロが山賊を蹴散らす
第9話(9/11)伝わらざるもの③霧の森の村/草原クロ(リコ)/トラ(誰の巨獣かは語られない)ユリアが目覚める。イルゼがアルの素性を明かす
第10話(9/18)アルとイルゼ①野営地/クロの家白いトラ(誰の巨獣かは語られない)王家とアルの生い立ち。8年前のセシリアの宣言
第11話(9/25)アルとイルゼ②野営地/クロの家巨大なトラ(誰の巨獣かは語られない)5年前のお茶会。アルは誕生日の直前に出奔。イルゼを送り出したのはセシリア
第12話(10/9)イシをつぐもの①草原の村/隣村までの草原クロ(リコ)/チーター(巨獣使いは第13話で判明)旅人が死ぬ草原の調査。枯れ木の下の「罠の餌」
第13話(10/23)イシをつぐもの②草原の枯れ木クロ(リコ)/チーター(旅人を襲っていた男)巨獣使いの最期と、託された石。使い手を亡くした巨獣が消える

よくある質問(FAQ)

『獣達のペレグリナティオ』は完結してる?今何話まで出てる?

いいえ、連載中です。2026年11月1日時点で、週刊コロコロコミック公式サイトでは第13話「イシをつぐもの②」(10月23日公開)まで読めて、次の第14話は11月27日に公開予定です。更新は金曜ですが、第12話以降は毎週ではありません。

単行本1巻はいつ発売?何話まで入ってる?

単行本1巻は2026年9月17日に発売されました。裏少年サンデーコミックス(小学館)のB6判・208ページで、定価は792円(税込)、電子版も同じ日に出ています。何話までが収録されているかは、公式の紹介には書かれていません。

「ペレグリナティオ」ってどういう意味?

ラテン語で旅・遍歴・巡礼を表す言葉です。作中でも、第1話の最後のナレーションで「旅」に「ペレグリナティオ」のルビが振られています。扉のロゴ下の欧文「PEREGRINATIO BESTIARUM」は、直訳すると獣たちの旅という意味になります。

『キノの旅』とつながりはあるの?

原作者が同じ時雨沢恵一というつながりはありますが、2026年9月23日時点で『キノの旅』の世界とつながっているという公式の説明はありません。時雨沢恵一は本作を、大きな獣の背中に一軒家を載せて旅をする作品と紹介しています。旅先の人々の事情に外から触れていく構成は、『キノの旅』の読者にもなじみやすいはずです。

リコは男の子?女の子?

女の子です。一人称が「オレ」で口調も荒いため、第1話では村長が途中まで少年だと思っていました。フルリンクのあと、池で水浴びをする場面で女の子だと分かります。

アルの正体は?(第9〜11話のネタバレ)

アルの正式な名前はアルファで、王国のアナスタシア女王の一人息子です。第9〜10話で、アルを捜す王国の騎士イルゼが相棒のガイに明かしました。アルには姉が4人いて、長男ですが末子です。第11話で、誕生日の直前に王国を出奔したと分かります。ただ、アル本人がなぜそのときに家を出たのかは、第13話の時点でもまだ語られていません。

どこで読める?無料で読める?

週刊コロコロコミック公式サイトで連載されていて、2026年11月1日時点では最新の第13話が無料で読めます。電子書籍は、単話版と単行本1巻がブックライブなどの電子書籍ストアで配信されています。pixivコミックでも配信中です。

アニメ化はしてる?

2026年11月時点で、アニメ化や実写化の発表は見当たりません。週刊コロコロコミック公式サイトの作品ページにも、告知は出ていません(11月1日確認)。今後の動きは、公式サイトや公式Xで確認するのが確実です。

まとめ

『獣達のペレグリナティオ』は、巨獣禍で人類の九割以上が死んだ数十年後の世界を、記録係のアルと巨獣使いのリコが、巨獣クロの背に乗って旅する物語です。第1話の村の巨獣、第2〜3話の実験都市、第4〜6話の湖の村、第7〜9話の霧の森の村、第12〜13話の草原の村と、1〜3話ごとに1つの土地の事情が描かれてきました。

第9〜11話では、アルが女王の一人息子アルファであり、誕生日の直前に王国を出たことが明かされました。セシリア王女に送り出された許嫁のイルゼが追う側に回り、旅の外側で物語の縦軸が動き始めています。第13話では、旅人を襲っていた巨獣使いから、アルが謎の石を託されました。

まずは第1話から。この旅の手ざわりと、先に待つ残酷な秘密の予告が、1話のなかに詰まっています。

参考文献・出典

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