【チェンソーマン 刺客編 解説】サンタクロースの正体は誰?——闇の悪魔との契約から第70話「摘む」まで、原作7〜8巻の”二重構造”を整理

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チェンソーマン 刺客編 解説記事のアイキャッチ画像。夜のデパート内に散乱した人形のパーツとチェンソーのシルエットを配した、深紅と黒基調の暗いビジュアル。

※本記事は物語の核心に触れるネタバレを含みます。

『チェンソーマン』の刺客編は、原作単行本の第7巻・第53話から第8巻・第70話までが中心の章です。テレビ報道でチェンソーマンの存在が世界に知れ渡り、アメリカ・中国・ドイツ・ソ連から刺客が送り込まれ、地獄での戦いを経て、最終話「摘む」でマキマがクァンシたちを斬首して幕を閉じます。

——と、1行でまとめるとこうなる。でも、一度読んだだけでこの章を人に説明できる人は、正直そんなに多くないと思う。

私もそうだった。本を閉じた瞬間に「で、結局あのおじいちゃんは何だったんだ?」となり、なぜ急に地獄にいるのかも説明できなかった。Yahoo!知恵袋には「2周しても内容がうまく頭に入らなかった」という質問まで立っている。これは読者の理解力の問題じゃない。

この記事では、その分かりにくさの正体をまず名指しします。そのうえで4か国の刺客の顔ぶれ、サンタクロースの正体、契約の連鎖、そして多くの解説記事が流してしまう「本当の結末」までを順に整理していきます。

※本記事は2026年9月時点の情報です。アニメ『チェンソーマン 刺客篇』の放送・公開時期は未発表のため、続報が出た場合は内容が変わります。

この記事を書いた人
藤沢あかり——原作『チェンソーマン』を全24巻読了、刺客編(第7〜8巻)は3周。TVアニメ第1期は全12話を通しで視聴し、劇場版『チェンソーマン レゼ篇』も公開時に劇場で鑑賞済み。初読で刺客編に迷子になった経験があり、「どう読めば崩れないか」を自分で作り直したタイプの読者です。

💡この記事でわかること
  • 刺客編が原作の何巻・何話にあたるのか(集英社公式の収録話ベース)
  • 「読んだのに頭に入らない」原因=刺客編の二重構造の正体
  • アメリカ・中国・ドイツ・ソ連、4か国から来た刺客の顔ぶれ
  • サンタクロースの正体と、人形→地獄→闇へ連鎖する契約の仕組み
  • 最終話「摘む」で何が起きたのか——刺客編の本当の結末
  • アニメ『チェンソーマン 刺客篇』で発表済みのこと/まだ未発表のこと

ここから先はネタバレを含みます!
原作第1部の核心(サンタクロースの正体・地獄での出来事・最終話の結末)に触れます。まだ読んでいない方は、先に本編をご覧になることを強くおすすめします。

目次

チェンソーマン「刺客編」とはどんな話? 原作7〜8巻・第53話から始まる章

刺客編は、デンジの存在が世界に知られてしまったことをきっかけに、各国が「チェンソーの心臓」を奪いに来る章です。舞台の中心は東京のデパート。そこに各国の刺客が集まり、ルール無用の殺し合いが始まります。

きっかけは前章の戦いでした。デンジとレゼの戦闘が街を巻き込む規模になった結果、チェンソーマンの姿がテレビで報道されてしまう。集英社公式の第7巻あらすじによれば、デンジは「恐怖!!デンノコ悪魔!!」として全世界に知られることになり、そこから各国の凄腕の刺客が東京へ集結します。公安対魔特異課は戦力を総動員してデンジ防衛作戦を敷く——というのが導入です。

構図自体は「大勢 vs デンジ1人(+公安)」で、バトル漫画としては分かりやすいはずの形をしている。にもかかわらず読みにくい。理由は次の章で。

刺客編は原作のどこからどこまで?

集英社公式の単行本情報を基準にすると、こうなります。

  • 第7巻:第53話〜第61話を収録
  • 第8巻:第62話〜第70話を収録(「地獄旅行」「ウェルカムトゥーザヘル」「闇の悪魔」「摘む」などを含む)

刺客編は第7巻の頭、第53話から始まります。終わりについては「第8巻の第70話まで」とする数え方が主流ですが、「第9巻の第72話まで」と数える解説記事もあります。

ここは正直に書いておきたいのですが、「刺客編」という章の区切りは集英社が公式に定めたものではありません。読者やメディアが便宜的に呼んでいる名前なので、終端の話数は記事によって揺れます。読み返す目的なら「7巻と8巻の2冊」と押さえておけば足ります。

刺客編は作品全体のどこに位置する?

原作第1部は『週刊少年ジャンプ』で2018年12月3日から2020年12月14日まで連載され、全97話・単行本第11巻まで。刺客編はその第7〜8巻なので、第1部の後半に差しかかったあたりです。

第2部も『少年ジャンプ+』で2026年3月25日配信の第232話をもって完結済み(累計発行部数は2026年6月時点で3,600万部突破)。いま読み始めるなら、終わりまで一気に行けます。

刺客編が分かりにくいのはなぜ? 混乱の正体は「二重構造」にある

結論から言うと、原因は2つです。4か国の刺客が同時並行で動くことと、「サンタクロース」の中身が途中ですり替わること。この2つが重なっているせいで、初読では因果関係が追えなくなります。

まず1つ目。この章では複数の国が別々にデンジを狙います。雇い主も動機も手段も違うので、「いま誰が誰を襲っているのか」が数ページごとに変わる。敵が1組なら目的を1本追えば読めるところを、刺客編では追跡対象が同時に4つ走っている状態になります。

2つ目がもっと厄介です。ドイツから来た刺客「サンタクロース」は老人の姿で登場します。読者は当然その老人をサンタクロースだと思って読む。ところが途中で、その老人は本体ではなかったと明かされる。数十ページかけて積み上げた理解が、一度まるごと無効化されるわけです。

私の場合、1周目は完全にこれで崩れました。「サンタクロース=あのおじいちゃん」の前提のまま進んだ結果、第8巻の中盤で誰が誰を操っているのか見失った。2周目に「老人は人形で、本体は別にいる」と分かった状態で読み直したら、同じページがまったく別の意味に見えたんです。

逆に言えば、この2点さえ押さえておけば刺客編は読める。以降は、それをほどいていく作業だと思ってください。

おたくライター

【結論】: 1周目は「誰が敵か」を追うのをやめて、「誰がデンジの心臓を欲しがっているか」だけを追ってください。
なぜなら、「敵か味方か」で整理しようとすると、終盤で敵側だったクァンシがデンジと共闘に回った瞬間に分類が壊れるからです。私は1周目にそれで完全に迷子になりました。目的(心臓)を軸にすれば、立場が変わっても線が切れません。

どこの国から誰が来た? 4か国の刺客を整理する

刺客を送り込んできたのはアメリカ・中国・ドイツ・ソ連。狙いはいずれも同じ、デンジの心臓です。まずは顔ぶれを一枚で押さえてしまいましょう。

出身刺客特徴・能力
アメリカ3人兄弟のデビルハンター(次男ジョーイ/三男アルド。長男は本名不明)3人とも「皮の悪魔」と契約。変装してターゲットに接近するのが得意
中国クァンシ/魔人4人(ピンツイ・ロン・コスモ・ツギハギ)政府からの依頼で来日。格闘能力は人類最強クラスと目されている
ドイツサンタクロース(老人の姿で登場)「人形の悪魔」を操る。ただしこの老人は本体ではない(後述)
ソ連トーリカサンタクロースの弟子。師匠から託された「呪いの悪魔」の釘を刺す

分かりやすいのはアメリカ勢です。3人兄弟のデビルハンターで、3人とも「皮の悪魔」と契約している。得意技は変装で、ターゲットに顔を突き合わせるところまで近づいてから仕掛けてくる。名前が判明しているのは次男のジョーイと、右目に2本の傷がある三男のアルド。長男は本名不明のままです。

ここで一点、注意喚起をさせてください。ネット上の解説記事には、この出身国を取り違えているものが複数あります。「サンタクロースはロシアからの刺客」と書いている記事を私も見かけましたが、ソ連から来ているのは弟子のトーリカのほうで、サンタクロースはドイツから刺客として送り込まれています。国で覚えようとすると、ここで一発で崩れます。

なかでも読み方が変わるのがクァンシです。彼女は中国政府の依頼を受けて来日した刺客で、女性の魔人4人を愛人として従えています。なお「ツギハギ」は見た目に由来する呼び名で、彼女の本名は作中で明かされていません(集英社の公式人気投票でも「クァンシの魔人(ツギハギ)」という表記です)。そして——ここが大事なのですが——彼女が任務の報酬として望んでいるのは金銭ではありません。魔人4人に人権と義務教育を与えること。それが報酬です。

もうひとつ、彼女には別の顔もあります。公安の岸辺(TVアニメ版の声優は津田健次郎)の元バディなんです。岸辺は彼女を「全人類が集まって素手で殴り合う競技があったら一位」と評していて、しかも当時は岸辺の側が言い寄っては振られていた、という関係。師弟ではなく、対等な元相棒です。

この背景を知っているかどうかで、章の終わり方の受け取り方がまるっきり変わります。

おたくライター

【結論】: クァンシを「敵」の枠に入れて読むと、最終話で確実に置いていかれます。報酬の中身だけは先に確認しておいてください。
なぜなら、彼女の行動原理は「中国のために戦う」ではなく「魔人4人に人権と義務教育を得させる」だからです。私は初読でこの一点を流し読みしてしまい、第70話で彼女が魔人たちの命乞いをする場面の重さを取り逃しました。

サンタクロースの正体は誰だったのか——「精巧な人形」が明かす最大の反転

真のサンタクロースは、トーリカの師匠である女性です。読者がサンタクロースだと思って読んでいたドイツの老人は、その師匠が作った「精巧な人形」にすぎませんでした。

この反転が、刺客編の最大の見せ場だと思っています。

順を追います。サンタクロースは「呪いの悪魔」の契約者で、この悪魔は対象に釘を4回刺すと殺せるという力を持っています。彼女はハンバーガーショップでデンジに3回まで釘を刺し、残る4本目を弟子のトーリカに託しました。そしてデパートで、トーリカがその4本目を打ち込む。デンジは一度ここで死にます。

デンジの死体を運ぼうとするトーリカのもとに現れたのが、師匠その人。師匠はおもむろに、精巧な人形の作り方を語り始めます。

「トーリカ 精巧な人形を作るコツを教えましょう」「人形にする人間に 人間しか持たない感情を入れること」「敬愛」「崇拝」「哀憐」「そして隠し味は罪悪感」

出典: 藤本タツキ『チェンソーマン』(集英社)/サンタクロース(チェンソーマン) – ピクシブ百科事典

そして師匠がトーリカに触れる。次のコマで、トーリカの表情から自我が消えます。見た目は人間のままなのに、まるで人形のような無機質な顔になる。

つまり、師匠がトーリカを可愛がっていたのは愛情ではなかった。敬愛・崇拝・哀憐・罪悪感という「人間しか持たない感情」をトーリカの中に育てておくための下準備だったわけです。あの老人も、かつて同じ工程を経て作られた「精巧な人形」だった。

ここで整理しておきたいのが、「ドイツから来たのは誰か」という点です。刺客として送り込まれてきたのは老人の姿をした人形のほうで、本体である師匠はトーリカと行動を共にしています。身体と本体が別の場所にある——これが二重構造の正体です。

読み返すと、老人サンタクロースの言動の一つひとつが違って見えてきます。あれは人格ではなく、仕込まれた感情のパターンだったのかもしれない。そう思いながら第7巻を開き直すと、正直、背筋が寒くなります。

なお公安側もこの相手を最大限に警戒していました。岸辺は「アイツに悪魔を使われたら終わりだからな」と言い、助っ人の玉置も、逃げるのではなく殺しておきたかったと語っています。

人形→地獄→闇。契約が3段でつながる仕組みを解きほぐす

「なんで急に地獄にいるの?」——刺客編で一番多いつまずきが、たぶんこれ。答えは、サンタクロースが契約を3段階で乗り継いでいくからです。1つずつ見ていきます。

第1段:人形の悪魔

サンタクロースが主に使う契約悪魔です。触れるだけで人間を人形に変えられる。しかも「人形に触れられた人間」も人形化するので、ねずみ算式に増えていきます。デパートが人形だらけになるのはこの能力のせい。

ただし例外があります。デンジのように悪魔と融合した人間や、パワーのような魔人は、人形が触れただけでは人形化しません。

第2段:地獄の悪魔

人形の悪魔の本当の恐ろしさは、増やせることではありません。人形の命を代償にして、別の悪魔と契約できるという点です。

実際、サンタクロースは「精巧な人形」である老人と、その養子3人の命を代償にして「地獄の悪魔」と契約します。複数の命を要求されるような相手でも、自分の身は減らない。人形に肩代わりさせればいいからです。

契約が成立すると巨大な6本指の腕が現れ、デパート内にいた全ての生物を地獄へ運んでいく。これが「急に地獄にいる」の正体です。

第3段:闇の悪魔

地獄でサンタクロースは、トーリカの人形を介してさらに契約を結びます。相手は「闇の悪魔」——根源的恐怖の悪魔です。契約内容は、「チェンソーの心臓」を持ってきたことを代償に、マキマを倒せる力を授けるというもの。闇の悪魔は自身の肉片を与え、それによって人形の悪魔の能力が大幅に強化されます。

ここで誤解されやすい点を1つ。彼女がまったく代償を払っていないわけではありません。地獄の悪魔の代償こそ人形と養子に肩代わりさせていますが、呪いの悪魔との契約では彼女自身が複数の指の感覚を失っています。「他人に払わせられるものは払わせる」であって「一切払わない」ではない。この線引きが、彼女というキャラクターの気味の悪さそのものだと思います。

闇の悪魔の”格”はどう描かれたか(第64話)

闇の悪魔が初登場するのは第8巻・第64話。第8巻には、そのまま「闇の悪魔」というタイトルの話が収録されています。

登場シーンの描き方が、とにかく容赦ない。横を通り過ぎるだけで、その場にいた者たちの腕をまとめてもぎ取っていくんです。人類最強クラスの格闘能力を持つクァンシですら反応できず、腕を切断されている。

これは「強い敵が出てきた」という描写ではないと思います。戦って勝てる/負けるの土俵にすら乗っていない、という格の提示です。私は初読時、ここを普通に強敵の登場シーンとして読み流していました。第1部を最後まで読んでから戻ると、意味がまるで変わります。

闇の力を得たサンタクロースは、姿そのものが人形のように変貌します。他の人形と脳をネットワークのように繋いで痛覚や精神ダメージを分散し、闇の中では傷が瞬時に治る。さらに夜になって周囲が闇に包まれると、再生力がもう一段上がりました。

その状態のサンタクロースに対し、中国の刺客だったはずのクァンシがデンジと共闘します。彼女が放つ無数の矢の攻撃すら容易く捌かれる場面もあり、戦況は苦しい。ここからどう決着がつくのかは、次の章で書きます。

おたくライター

【結論】: 「代償を誰が払っているか」を一段ずつ確認しながら読むと、この章の異様さが一気に見えるようになります。
なぜなら、悪魔との契約は本来リスクを背負う行為なのに、彼女は地獄の悪魔の代償だけを人形と養子に付け替えているからです。私は第64話で腕をもぎ取られる場面を初読時「強い敵が出た」としか読めませんでしたが、この付け替えの構造を理解してから戻ると、恐ろしいのは闇の悪魔ではなくサンタクロースのほうだと分かりました。

刺客編の本当の結末は「摘む」——敵より怖かったのはマキマだった

第8巻の最終話、第70話のタイトルは「摘む」。ここが刺客編の着地点です。

まず、サンタクロースにとどめを刺したのはデンジではありません。ここは私も長く勘違いしていました。

デンジの働きが無かったわけではありません。前話(第69話)で彼は自分の身を燃やし、その炎の明かりで闇の中での再生を鈍らせたうえで、サンタクロースのその時点の肉体を破壊しています。ただ、それで終わらなかった。

人形の血で回復したデンジに対し、サンタクロースは脅しをかけます。世界中に人形の軍団を配置してあり、闇の悪魔の力があれば、お前もお前の大事な人間も永遠に狩り続けられる、と。デンジは自分の不死性を盾に強気で返す——その直後、クァンシがデンジの首を刎ねます。

そしてクァンシは、街を1人で歩き回っていた魔人コスモに、サンタクロースへ能力を使うよう頼みました。

コスモの正体は「宇宙の魔人」。彼女の能力は、対象に宇宙のすべてを完全に理解させるというものです。理解の量があまりに膨大なため、受けた者は半覚醒状態に落ち、死ぬまで「ハロウィン」という言葉しか発せなくなる。果てのない図書館の中でそれを浴びたサンタクロースは、現実世界で「ハロウィン」と繰り返しながら、塵になって崩れていきました。

心を人形とネットワークで繋いでいたことが、ここでは逆に効いています。精神攻撃は効かないと言い切った直後に、精神ごと持っていかれるわけです。

——で、これで終わりかというと、終わりません。

吉田と岸辺が到着し、クァンシが応戦しようとしたそのとき。2人は無言で目隠しをつけ、その間から剣を持ったマキマが現れます。

マキマの姿を見たクァンシの反応が、この章のすべてを物語っていると思う。彼女は即座に刀を捨てました。人類最強クラスの格闘能力を持ち、闇の力を得たサンタクロースにも矢を放ち続けた彼女が、戦わずに降参する。そして、コスモとツギハギの命だけは助けてほしいと願い出ます。

マキマの返答は、一言だけでした。

「死体が喋っている」

次の瞬間、クァンシと2人の魔人の首が胴体から切り離されます。

この一言、実は第60話の裏返しです。クァンシの魔人ピンツイは、斬られたことに気づかず喋り続ける相手を見て「尸体在说话(死体が喋っている)」と笑っていました。つまりマキマの台詞は、彼女がすでにクァンシたちを斬り終えていて、本人たちがまだ気づいていないという意味になる。自分たちが使っていた言葉を、そっくりそのまま返されているわけです。

戦闘というより、処理でした。マキマは無傷で、服も汚れていない。吉田が目隠しを外したあとも、岸辺は外そうとしません。理由を聞かれて、「何も見たくない」と答えるだけ。あの岸辺が、です。

話数タイトルの「摘む」は、たぶんこのマキマの行為を指しています。雑草を摘むように、片付けていく。刺客編は「強敵を倒して終わる章」ではなく、倒した先で味方であるはずの人物のほうが怖いと分かって終わる章なんです。

なお、刺客が全滅したわけではありません。ラストにはニュース映像が挟まり、世界中の人形が「ハロウィン」としか言えなくなっている様子が報じられます。その中に、アメリカの刺客アルドの姿もある。目に苦痛をたたえながら「ハロウィン」と繰り返して歩いていました。

彼が本当にコスモの能力を受けたのかは、作中では明言されていません。周囲に紛れるために真似していたのだ、という読み方もあります。どちらにせよ確かなのは、アルドは刺客編の終わりの時点で生きているということ。倒されたのでも見逃されたのでもない終わり方をした刺客が、ちゃんと残っているわけです。

多くの解説記事は「サンタクロース撃破」で刺客編を締めています。でも私は、この最終話まで込みで読まないと、この章を読んだことにならないと思う。デンジたちが命がけで勝ち取ったはずの決着が、上司の一言で「摘まれる」——その落差こそが、この後のマキマ編へまっすぐ繋がっていくからです。

ひとつだけ補足を。クァンシはここで完全に退場するわけではありません。彼女は武器人間であるため後に蘇生し、第2部では対魔特異七課の所属として再登場します。「刺客編で斬首された」と「その後も物語に出てくる」は、両方とも正しい。ここは二層で覚えておくと混乱しません。

おたくライター

【結論】: 第70話まで読んだら、そのまま第7巻の頭に戻って「クァンシの初登場」を読み直してみてください。
なぜなら、彼女が魔人4人への人権と義務教育を報酬に選んだ理由が、最終話の命乞いと直結して見えるようになるからです。私は初読で報酬の中身を流し読みしてしまい、3周目にここを繋げてようやく、この章が誰の物語だったのかが分かりました。

サンタクロースは「人形の悪魔」なのか、それとも契約者なのか

ここは、はっきり書いておきます。作中で決着していません。

サンタクロース自身が、「人形の悪魔」だとも「人形の悪魔の契約者」だとも名乗っているんです。そしてどちらの説にも、それなりの根拠と、それなりの無理があります。

悪魔本体だとする説の難点は、そもそも本人が「契約者」と名乗る理由がなくなること。加えて、悪魔でありながら「闇の悪魔」と契約したことになります。作中では魔人が悪魔と契約できないと明言されていますし、マキマが自分の支配下にない悪魔については契約者を介して力を行使していたことを踏まえると、悪魔同士の契約はそもそも成立しない可能性がある。

契約者だとする説の難点は、闇の悪魔という高位の存在の前で嘘をついたことになる点。リスクが高すぎます。それに、闇の悪魔の肉片を食べたのは人形の悪魔ではなくサンタクロース自身でした。人間が肉片を食べて強化される設定は作中で語られていません。もしそれが可能なら、とっくに誰かが「銃の悪魔」あたりの肉片を食べて強くなっているはずです。

第3の説として、「人形の悪魔と融合したデンジのような存在なのでは」という読み方もあります。いずれにせよ、この問いに作中で答えが与えられるコマは、第8巻(第62話〜第70話)の中には見つかりません。

競合の解説記事の多くは、ここをどちらかに断定して書いています。でも私は、断定しないほうが誠実だと思う。どちらとも取れるように描かれていること自体が、このキャラクターの設計なんじゃないでしょうか。

アニメ『チェンソーマン 刺客篇』はどこまで分かっている?

先に結論を言います。スタッフと主要キャストはすでに公式発表されています。まだ出ていないのは、放送日・公開日と、刺客編から登場するキャラクターの声優です。

多くの解説記事がまだ「スタッフ未発表」と書いていますが、公式サイトのSTAFF/CASTページではすでに次の顔ぶれが公開されています。

  • 原作:藤本タツキ
  • 監督:𠮷原達矢
  • 脚本:瀬古浩司
  • 音楽:牛尾憲輔
  • キャラクターデザイン:杉山和隆
  • 悪魔デザイン:押山清高
  • 音響監督:名倉靖
  • 制作:MAPPA

キャストも第1期からの続投で、次の11役が発表済みです。

  • デンジ:戸谷菊之介/ポチタ:井澤詩織
  • マキマ:楠木ともり/早川アキ:坂田将吾/パワー:ファイルーズあい
  • 東山コベニ:高橋花林/岸辺:津田健次郎
  • 天使の悪魔:内田真礼/ビーム:花江夏樹/暴力の魔人:内田夕夜/蜘蛛の悪魔:後藤沙緒里

なお公式の表記は「シリーズ構成」ではなく「脚本」です。書き写すときは気をつけてください。

一方で、クァンシ・サンタクロース・トーリカといった刺客編の主役級キャラクターの声優は、この一覧にまだ入っていません。この章を引っ張る3人なので、次の発表で最も注目されるところだと思います。「クァンシ役は○○さん」と書いてある記事があったら、それはファンの予想です。

制作決定が発表されたのは2025年12月21日、「ジャンプフェスタ2026」のステージイベントでした。劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の続編にあたる作品で、制作はMAPPA。2026年6月19日の「MAPPA15周年記念 ラインナップ発表会」では最新ティザーPVが公開され、新キャラクターも初解禁されています(名前は未公表)。

形態については少し注意が必要です。集英社の公式ニュースは見出しで「TVアニメ「チェンソーマン 刺客篇」制作決定!」と明記している一方、アニメ公式サイトのニュース本文は「アニメ『チェンソーマン 刺客篇』」とだけ書いて形態に触れていません。形態が示されていないのではなく、媒体によって書き方に差があるというのが正確なところです。

そして肝心の放送日・公開日は、2026年9月時点でまだ発表されていません。制作決定を伝えた公式ニュースの時期に関する記述は「続報をお楽しみに」の一言だけでした。アニメ公式サイトのNEWS一覧を見ても、刺客篇の情報は2026年6月19日のティザーPV公開が最新です。ネット上には「2027年秋あたりが有力」といった予想もありますが、それは推測であって公式発表ではありません。

ちなみに正式タイトルは「刺客篇」です。原作の章を指す通称は「刺客編」表記も広く使われているので、検索するときは両方で引くと取りこぼしません。

映像化で原作がどう解釈されるのかについては、TVアニメ第1期を手がけた中山竜監督の言葉が示唆的です。

そのバランスは大事にしたいと思っていました。映像化するとなった時点で誰かが監督を務めるわけですが、原作者と監督って別な人間なので、どうしたって違う視点でものをつくることになります。

出典: アニメ『チェンソーマン』中山竜監督インタビュー – ファミ通.com, 2022年12月3日

刺客編は「読者が信じていた前提をひっくり返す」構造の章です。原作をコマ割りで読んだときの効き方と、映像で時間の流れとして見せられたときの効き方は、たぶん違う。とくに第70話の「摘む」をどう見せるのかが、いちばん楽しみだと私は思っています。

マキシマム ザ ホルモンの新曲は「刺客篇の主題歌」ではない

ここ、いま最も混同されているポイントなので独立して書きます。

マキシマム ザ ホルモンの「オール・ザ・リンチ・オール・ザ・ミンチ」。この曲は『チェンソーマン』スマートフォンゲームのオープニング・テーマです(英題は ALL THE LYNCH!! ALL THE MINCE!!)。アニメ『刺客篇』の主題歌ではありません。

混同が起きているのは、2026年6月19日の同じ発表会で「刺客篇の最新ティザーPV公開」と「スマートフォンゲーム化+ホルモンがOP担当」が同時に告知されたからです。結果としてメディアの見出しが「刺客篇の最新PV公開! スマホゲーム化も決定&OPはホルモン新曲」のように連結され、アニメの主題歌だと読めてしまう。

公式サイトのニュース見出しを見ると切り分けは明確で、「『チェンソーマン』スマートフォンゲーム化決定! マキシマム ザ ホルモンがオープニング・テーマを担当、MAPPA制作のゲームOPも初解禁!」となっています。刺客篇側のニュースは、PVの公開と新キャラクター初解禁を伝えるのみで、主題歌には触れていません。

刺客篇の予習に。アニメ『チェンソーマン』を見るならどこ?【VODサービス比較】

放送前の予習に使えるのは、TVアニメ第1期(全12話)と、刺客篇の前作にあたる劇場版『チェンソーマン レゼ篇』です。レゼ篇は2026年9月19日(土)0:00からPrime Videoで見放題独占配信が始まります(2026年8月25日にアニメ公式サイトで発表)。『刺客篇』自体はもちろん未放送なので、どこでも視聴できません。

刺客編は、デンジ・早川アキ・パワーの3人がすでに「一緒に暮らしている状態」を前提に進む章です。あの共同生活の空気を知らないまま入ると、第70話の後味が半分も伝わりません。第1期の全12話は、そこを作るための助走にあたる。デパートでの乱闘が始まる前に、あの日常のほうを見返しておくと効きます。

ちなみに第1期を手がけた監督は、原作を連載当時からリアルタイムで追ってきた読者でもありました。

藤本タツキ先生の作品は『ファイアパンチ』の第1話が『少年ジャンプ+』で配信されたときからリアルタイムで毎週読んでいたので、連載時の雰囲気や、どのように読者から人気を博してきたかというのもずっと見てきました。

出典: アニメ『チェンソーマン』中山竜監督インタビュー – ファミ通.com, 2022年12月3日

サービス料金無料お試し期間配信状況おすすめ度
U-NEXT月額2,189円31日間見放題★★★★★
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DMM TV月額550円14日間見放題★★★★☆
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Hulu月額1,320円なし見放題★★★☆☆
ABEMA月額680円〜なし見放題★★★☆☆
Lemino月額1,540円〜31日間見放題★★★☆☆

迷ったらU-NEXTです。理由はこの記事の主題そのもので、刺客編は「アニメを見返す」だけでは完結しないから。第53話〜第70話はまだアニメ化されておらず、いま中身を確かめる手段は原作しかありません。U-NEXTは毎月1,200ポイントが付与され、そのポイントを電子書籍の購入に使えます。アニメ第1期の見返しと、原作7〜8巻の読み返しを1つのサービスで完結できるのは、いまの刺客編にとって一番かみ合った選び方だと思います。

映像だけで刺客篇に追いつきたいなら、Amazon Prime Videoが近道です。表の8サービスはいずれも第1期が見放題ですが、前作のレゼ篇は2026年9月19日からPrime Videoの見放題独占配信になります。第1期とレゼ篇を1つのサービスで続けて見られるので、刺客篇の直前まで映像でつながります。

第1期の全12話だけ見返せれば十分、という場合はdアニメストアが月額660円〜と安く、無料お試し期間も31日間あるので、第1期の全12話を追いつくには十分です。

原作7〜8巻を読み返すなら? 電子書籍でお得に読む方法

刺客編にあたるのは、第7巻と第8巻のたった2冊です。シリーズは全24巻で完結していますが、刺客編を思い出したいだけなら全巻を揃える必要はありません。2冊で足ります。

そして刺客編は、2周目のほうが確実に面白い章でもあります。「老人は人形」「本体は師匠」と分かった状態で第7巻を開き直すと、老人の何気ないコマの意味が変わって見える。私はここで一度、本を閉じて天井を見ました。ページを行き来しながら読み返すことになるので、電子書籍と相性のいい章だと思います。

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第1部を頭から通しで読み返したい場合は全11巻が対象になるので、全巻まとめ買い割引のある漫画全巻ドットコムのほうが有利になります。

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刺客編にハマった人が次に行きたくなるのは、だいたい現物のほうです。デンジやマキマのフィギュア、アニメ第1期のBlu-ray/DVD、劇場公開時のグッズ——このあたりは中古・フリマのほうが見つかります。紙の単行本を7巻・8巻だけ買い足す、という買い方もできます。

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📥 保存版:刺客編 登場人物・出身国・結末 早見表

このままスクショして、原作を読み返しながら横に置いておくと迷いません。

キャラクター出身・所属契約悪魔・能力刺客編での立ち位置と結末
デンジ公安対魔特異課チェンソーの悪魔ポチタと融合狙われる側。呪いの釘4本目で一度死亡するが復活。第70話では終盤にクァンシに首を刎ねられる
クァンシ中国から派遣された刺客武器人間(弓)。人間の姿では刀を使う敵として来日するが終盤はデンジと共闘。最終話「摘む」でマキマに斬首される。武器人間のため後に蘇生し第2部で対魔特異七課として再登場
サンタクロース(トーリカの師匠)本体は師匠。ドイツから来た老人はその「精巧な人形」人形の悪魔/呪いの悪魔/地獄の悪魔/闇の悪魔闇の力を得るが、コスモの能力で「ハロウィン」としか言えない状態にされ、塵になって崩れる
コスモクァンシの魔人の1人宇宙の魔人。対象に宇宙のすべてを理解させるサンタクロースを無力化した張本人。直後にマキマに斬首される
ツギハギクァンシの魔人の1人不明(作中で明かされていない)第70話でクァンシ・コスモとともにマキマに斬首される
トーリカソ連から派遣された刺客呪いの悪魔の4本目の釘を刺す実行者(契約者は師匠)デンジを一度殺害。その後、師匠に触れられ自我を失い「精巧な人形」と化す
アルドアメリカから派遣された刺客(三男)皮の悪魔(変装)右目に2本の傷。刺客編終了時点で生存。ニュース映像で「ハロウィン」と繰り返しているが、能力を受けたのか真似なのかは作中で明言されていない
マキマ公安対魔特異課(デンジの上司)—最終話で登場し、降参したクァンシと2人の魔人を斬首する。刺客編の恐怖の本体
岸辺公安のデビルハンター—デンジ・パワーの教官。クァンシの元バディ。第70話では目隠しを外さない
早川アキ公安対魔特異課呪いの悪魔(サンタクロースと同じ悪魔だが釘の形状・回数が異なる)・未来の悪魔(未来視)デンジの先輩であり同居人。刺客編では生存
パワー公安対魔特異課(血の魔人)血の魔人魔人のため人形に触れられただけでは人形化しない。刺客編では生存

よくある質問(FAQ)

チェンソーマンの刺客編って何巻から何巻まで?

原作単行本の第7巻・第53話から第8巻・第70話までが中心です。集英社公式の収録話では第7巻が第53話〜第61話、第8巻が第62話〜第70話。「第9巻・第72話まで」と数える解説もありますが、「刺客編」という区切り自体が公式のものではないため、終端は記事によって揺れます。読み返すなら7巻と8巻の2冊です。

サンタクロースの正体って結局誰なの?

トーリカの師匠である女性です。ドイツから刺客として現れた老人は、その師匠が作った「精巧な人形」にすぎませんでした。師匠は「敬愛」「崇拝」「哀憐」「隠し味は罪悪感」を人形にする人間へ仕込むと語り、可愛がっていたトーリカ自身も人形に変えてしまいます。

クァンシは刺客編で死ぬの?

はい、死にます。刺客編の最終話・第70話「摘む」で、降参を申し出た直後にマキマに斬首されます。同行していた2人の魔人も同時に首を切られました。ただし彼女は武器人間であるため後に蘇生し、第2部では対魔特異七課の所属として再登場します。

闇の悪魔は何話で出てくる?

単行本第8巻・第64話で初登場します。第8巻には「闇の悪魔」というタイトルの話も収録されています。登場シーンでは、横を通り過ぎるだけで居合わせた者の腕をもぎ取っていき、人類最強クラスのクァンシですら反応できずに腕を切断されました。

アニメの『刺客篇』はいつ放送されるの? スタッフやキャストは決まってる?

スタッフと主要キャストは公式発表済みです。監督は𠮷原達矢、脚本は瀬古浩司、音楽は牛尾憲輔、制作はMAPPA。キャストもデンジ役の戸谷菊之介ら第1期から続投しています。一方、放送日・公開日は2026年9月時点で未発表で、クァンシやサンタクロースの声優もまだ出ていません。

マキシマム ザ ホルモンの新曲は『刺客篇』の主題歌なの?

いいえ、違います。「オール・ザ・リンチ・オール・ザ・ミンチ」は『チェンソーマン』スマートフォンゲームのオープニング・テーマです。2026年6月19日の発表会で刺客篇のPVと同時に告知されたためメディアの見出しで連結されがちですが、公式サイトではゲームのOPとして案内されています。

レゼ篇の続きから読めばいいの?

はい、刺客編は劇場版『チェンソーマン レゼ篇』が扱った範囲の続きにあたります。第7巻・第53話から読み始めれば、そのまま繋がります。アニメだけを追ってきた人がいま原作に入るなら、この第53話が一番きれいな入口です。レゼ篇を見逃した場合は、2026年9月19日からPrime Videoで見放題配信されます。

刺客編だけ読んでも話は分かる?

単体でもバトルは追えますが、正直おすすめしません。刺客編はデンジ・早川アキ・パワーの共同生活が前提にあり、その関係性を知らないと第70話の後味が伝わらないためです。時間がないなら、アニメ第1期(全12話)で3人の関係を押さえてから第7巻に入るのが最短ルートだと思います。

まとめ

刺客編が「読んだのに説明できない」章になるのは、4か国の刺客が同時並行で動くことと、サンタクロースの中身が老人から師匠へすり替わること——この二重構造のせいでした。

逆に言えば、押さえるべきは多くありません。狙いは全員「デンジの心臓」。サンタクロースの本体はトーリカの師匠で、ドイツから来た老人はその人形。契約は人形→地獄→闇の3段で、地獄の悪魔の代償だけが人形に付け替えられている。そして最後に全部を「摘む」のがマキマ。この4行を持って第7巻を開き直せば、1周目とは違うものが見えるはずです。

そして最後まで読んでください。刺客編は、サンタクロースを倒した瞬間に終わりません。第70話「摘む」で、降参したクァンシごとマキマが片付けてしまう。この落差を受け取って初めて、刺客編を読んだことになると私は思っています。

アニメ『チェンソーマン 刺客篇』は、スタッフと続投キャストこそ発表されたものの、放送時期と刺客編キャラクターの声優はまだ発表されていません。裏を返せば、いまが一番ゆっくり読み返せる時期でもある。続報を待っているこの期間に、7巻と8巻を開いておくのがいちばん気持ちのいい楽しみ方だと思います。

あの老人の正体を知ったうえで読む第7巻、ぜひ味わってみてください。

参考文献・出典

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